暗号資産(暗号資産)投資家が、AI企業「アンソニック(Anthropic)」の株式を巡る混乱に巻き込まれている。実在しない株式を裏付けとしたトークンへの投資や、8,700%を超える高金利ローンの支払いなど、多額の損失が相次いでいる。

アンソニックの法務チームは5月11日、同社のウェブサイトを更新し、承認を受けていない株式の移転は無効であることを明確にした。同社は声明で、「取締役会の承認を受けていないアンソニック株式の売買や移転は、当社の帳簿上で認識されない」と表明。特定目的会社(SPV)、フォワード契約、トークン化された証券などが対象となることを示した。

「存在しない株式」を巡る混乱

この問題の発端は、アンソニックの株式を模した暗号資産トークンの流通だ。特に注目を集めたのが、ソラナ(Solana)ベースのプラットフォーム「PreStocks」が発行する「ANTHROPIC」トークンだった。同トークンは過去1年間で6倍以上の急騰を記録し、235ドルから一時1,409ドルに達した直後、アンソニックの法的通知を受けて34%急落。その後も下落が続いた。

PreStocksは、ANTHROPICトークンを「実在する企業の株式に1:1で連動したSPV(特定目的会社)へのエクスポージャー」と説明していた。しかし、その「エクスポージャー」という表現が問題をはらんでいた。実際の株式はアンソニックの法人台帳上でのみ管理されており、ブロックチェーン上には存在しない。つまり、PreStocksのトークンは、実態のない「契約上の請求権」に過ぎなかったのだ。

法的整理で明確化された「無効」の意味

暗号資産業界の弁護士であるガブリエル・シャピロ氏は、アンソニックが採用した法的表現が「最も厳格なもの」だったと指摘する。デラウェア州の企業法に基づき、株式の移転を「無効(void)」と明記することで、二次市場の買い手は法的保護を受けられなくなったという。

アンソニックの声明は、株式の移転には取締役会の承認が必要であることを強調。実在しない株式を巡る投資家の混乱を招いた中間業者のリストも公開した。その中には、Unicorns Exchange、Pachamama、Forge、Lionheart Ventures、Sydecar、Upmarket、Open Door Partners、Hiiveなどが含まれる。

「ブロックチェーンは stupid を治せない」

ポッドキャスターのGwart氏は、暗号資産業界の無知を皮肉った。「アンソニックの株をNFT化しても、ダリオ(アンソニックCEO)の弁護士が差し止めを出せば、そのNFTはただのデータに過ぎない。資産の概念をNFTが破壊しているのに、それを理解していない人が多すぎる」と語った。

この一件は、暗号資産業界における「ブロックチェーン万能論」の限界を浮き彫りにした。実在する資産の所有権をブロックチェーン上で管理する試みは、法的整理の壁に阻まれ続けている。アンソニックのケースは、その象徴的な事例となった。

出典: Protos