2003年の発売当時、ローレン・ワイズバーガーは「プラダを着た悪魔」が実在の人物をモデルにしているとの指摘を否定していた。「本の内容の多くは友人の体験談です」と彼女は当時のインタビューで語った。「友人の多くは出版業界やファッションPR、広告業界で働いていました。どの業界にも horror story は存在します」

物語の舞台となったのは、ヴォーグ誌の編集長アンナ・ウィンターの下で繰り広げられた、過酷な職場環境だった。彼女は「ミランダ・プリーストリー」という架空のキャラクターのモデルとされ、そのモデルとなったウィンターは小説発売当時、メディアの注目を浴びながらも冷静な対応を続けていた。

しかし、時が経つにつれて「プラダを着た悪魔」は単なるゴシップ小説から、文化的な現象へと変貌を遂げた。小説、映画、ミュージカル、そして続編の公開を経て、その影響力は計り知れないものとなった。特に、2024年5月1日に公開された続編「プラダを着た悪魔2」を記念して、ヴォーグ誌は多数の特集記事を掲載している。

アンナ・ウィンターの反応とヴォーグの変化

発売当時、ウィンターの対応は徹底したものだった。ニューヨーク・タイムズのデイビッド・カーは、ヴォーグ誌が他誌に先駆けて発行部数を維持するために行った施策(表紙にモデルではなくセレブリティを起用するなど)を紹介した記事の最後に、次のようなエピソードを紹介している。

「ウィンターは、その本について尋ねられても、「私はその本を読んでいませんし、コメントすることもありません」と繰り返していた」

しかし、今やヴォーグ誌自らが「プラダを着た悪魔」を題材とした特集を組むなど、かつての否定的な態度から一転、作品を受け入れる姿勢を見せている。これは、小説や映画が世間に与えた影響の大きさを物語っている。

「プラダを着た悪魔」の文化的影響力

「プラダを着た悪魔」は、単なるエンターテイメント作品を超えた存在となった。ファッション業界における権力構造、過酷な職場環境、そしてアンナ・ウィンターという実在の人物像を通して、多くの人々にインスピレーションを与え続けている。

特に、若い女性たちにとっては、職場でのサバイバル術やキャリア形成の参考として語り継がれている。また、ファッション業界に限らず、他業界の厳しい職場環境を描いた作品としても評価されている。

今や「プラダを着た悪魔」は、単なる小説や映画の枠を超え、文化的な象徴となった。その影響力は、発売から20年以上経った今も色褪せることなく、多くの人々に愛され続けている。

出典: Defector