オープンAICEO、裁判で「慈善の横領」を否定

オープンAIのサム・アルトマンCEOが6月10日、裁判で初めて証言台に立ち、イーロン・マスク氏が提起した訴訟の核心を浮き彫りにした。それは、AIの安全性を最優先する倫理的リーダーシップと、利益や支配権の追求との矛盾についてだった。

「慈善の横領」主張を一蹴

マスク氏はオープンAIとマイクロソフトが「慈善団体を横領した」と主張していたが、アルトマンCEOはこれを強く否定した。「そのような言い方を理解するのが難しい」と述べ、非営利団体から営利企業への転換は、安全で強力なAIを開発するために必要な資金を調達する唯一の方法だったと主張した。

マスク氏の「安全性擁護」に対抗

マスク氏は自身をオープンAIの安全性ミッションの守護者と位置づけているが、アルトマンCEOは逆に、マスク氏がオープンAIを支配下に置こうとしたと証言した。具体的には、マスク氏が初期段階で支配的な株式保有やテスラとの合併を求め、さらに自身の死後は子供たちに支配権を譲ろうとしていたと明かした。

2024年に提起された訴訟の背景

マスク氏は2024年、オープンAIの非営利ミッションを裏切ったとして、アルトマンCEO、グレッグ・ブロックマン氏、マイクロソフトを提訴した。裁判は先月カリフォルニア州オークランドの連邦裁判所で始まり、マスク氏、ブロックマン氏、イリヤ・スツケーバー氏、オープンAI取締役会議長のブレット・テイラー氏らが証人として出廷した。

信頼性を揺るがすマスク氏側の攻撃

マスク氏側の弁護士は、アルトマンCEOの信頼性を揺るがすために、元オープンAI関係者(ミラ・ムラティ氏、イリヤ・スツケーバー氏、ヘレン・トナー氏)の証言や、過去の発言を引用した。これに対し、アルトマンCEOは「私は正直で信頼できるビジネスパーソンだ」と反論した。

アルトマン氏の利益相反問題も浮上

さらに、アルトマンCEOが経済的利害関係を持つ企業(決済大手のStripe、半導体スタートアップのCerebras、核融合エネルギー企業のHelion)との取引が注目を集めた。特にHelionではアルトマンCEOが大株主であり、最近まで取締役会長を務めていた。

AIガバナンスの不透明さが浮き彫りに

専門家らは、いずれの側もAIガバナンスについて明確で安心できるビジョンを示せていないと指摘する。「双方にとって、AI倫理と利益追求のバランスをどう取るかが最大の課題だ」

今後の展開:最終弁論を控えて

今週木曜日に最終弁論が行われる予定で、裁判の行方が注目される。AI業界の将来を左右する判決となる可能性もある。

出典: Axios