ニューヨーク・マンハッタンのジャビッツ・センターで開催されたディズニーの年間アップフロントス発表会。ステージ上に立ったABCの人気深夜番組「ジミー・キンメル・ライブ!」の司会者、ジミー・キンメルは会場に集まった広告主や関係者に向け、こう述べた。

「まさか再び皆さんにお会いできるとは思っていませんでした」。会場は拍手と歓声で包まれた。

これは単なるジョークではない。去年、トランプ前大統領の要請により番組を一時降板させられたキンメルにとって、これはまさに「再会」だったのだ。当時、ディズニーのCEOだったロバート・アイガーは政権との関係修復を優先し、1600万ドルの和解金を支払うなど、譲歩を重ねた。しかし、今や状況は一変している。2カ月前にCEOに就任したジョシュ・ダマロ氏のもと、ディズニーはトランプ政権からの圧力に対して、これまでにない強硬な姿勢で反撃を開始した。

FCCの圧力に対するディズニーの反撃

その象徴が、連邦通信委員会(FCC)に提出した52ページに及ぶ反論書だ。FCCのブレンダン・カー委員長は、ABC系列局8局のダイバーシティ施策に対する調査を実施。先月には放送免許の早期更新を要求するなど、ディズニーに対する圧力を強めてきた。ダマロ氏率いるディズニーは、こうした規制当局の動きに対し、初めて明確に反論する姿勢を示したのである。

「カー委員長の行動は、ディズニーに対する圧力をエスカレートさせるものでした。これまでは口頭での圧力にとどまっていましたが、今回の調査や免許更新の要求は、明らかに行動を強制するものです」。こう語るのは、表現の自由擁護団体FIREの最高法務責任者、ボブ・コーン=レヴェレ氏だ。

ダマロ氏の決断は、FCCの民主党唯一の委員であるアンナ・ゴメス氏からも称賛された。ゴメス氏は月曜日にダマロ氏宛ての書簡で、ディズニーの対応を「検閲と支配を目的とした持続的かつ組織的なキャンペーンに対する拒絶」と表現。さらにこう続けた。

「譲歩は保護を買うものではありません。むしろ、さらなる嫌がらせを招くだけです。今回、ディズニーは勇気を持って譲歩を拒否しました。この政権の言論封じの試みに対し、彼らは勝利を収めるでしょう」

「ザ・ビュー」と「ザ・レイトショー」を巡る攻防

FCCの圧力は、特にABCの朝のトーク番組「ザ・ビュー」に集中している。同番組は保守的な視聴者から批判を浴びており、FCCは同番組の放送免許更新に際して厳しい審査を行う構えを見せている。これに対し、ダマロ氏は法廷闘争も辞さない構えを示した。

キンメル自身も、CBSがトランプ政権への配慮から「レイトショー」を打ち切ったことに触れ、自身の番組復帰をアピールした。火曜日の深夜番組共演の場で、キンメルはこう述べた。

「私が番組を一時降板した際、多くの視聴者がディズニー+を解約しました。では、なぜCBS+は解約されないのでしょうか? なぜなら、あなた方は何も感じていないからです」。

この発言は、ディズニーが政権との対決姿勢を鮮明にした象徴的な瞬間となった。今後、同社はFCCとの法廷闘争を含む、あらゆる手段で政権の圧力に抵抗する構えだ。

出典: The Wrap