共和党のカリフォルニア州知事候補であるスティーブ・ヒルトン氏は、映画・テレビ制作産業をカリフォルニア州に呼び戻すための包括的な税制優遇策を発表した。同氏は11月14日、連邦レベルの無制限税額控除と州レベルの最大60%の税額控除を提案し、トランプ前大統領の支持を受けていることを明らかにした。

ヒルトン氏は当選した場合、連邦政府と協力して米国初の全国規模の映画税制優遇策を導入する方針だ。現在米国には、ジョージ・W・ブッシュ政権時代の「セクション181」と呼ばれる税制優遇策が存在するが、これは国内で最初の1500万ドルまでの制作費に対して税額控除を認めるものに過ぎない。これに対し、ヒルトン氏が提案するのは、カナダ、オーストラリア、英国といった国々と競合可能な全国規模の税制優遇策だ。

同氏は、連邦レベルの税額控除と州レベルの税額控除を組み合わせることで、米国内で最も多くの撮影や制作スタッフ、設備を確保できると主張する。また、一部の制作に対しては最大60%の税額控除を適用し、最低でも40%を保証する計画だ。現在カリフォルニア州の税額控除は最大45%で、実効税率は約35%となっているが、この新たな計画により、米国で最も手厚い映画税制優遇策となる見込みだ。

制作費の上限撤廃とポストプロダクション費用への適用を提案

ヒルトン氏の提案には、制作費の上限撤廃と、監督や俳優などの高額報酬を含む「アバブ・ザ・ライン」と呼ばれる制作費だけでなく、ポストプロダクション費用も対象に含めるという画期的な内容が含まれている。民主党候補のマット・マハン氏とトム・スティアーズ氏も同様に上限撤廃を支持しているが、マハン氏はさらに、高額な報酬を得るトップクリエイターや俳優の報酬にも税額控除を適用すべきだと主張している。これは労働組合から反発を招いており、中間層の労働者への支援に重点を置くべきだとの声が上がっている。

この税制優遇策はカリフォルニア州民にとって財政負担となる可能性があるが、ヒルトン氏は他の支出を削減することで予算に余裕を持たせるとしている。また、年間予算の一部を独立系や中規模の映画制作に割り当てることも計画している。

「この税制優遇策は当初、裏方のスタッフや制作産業を支援するために設計されました。最大のプロジェクトを単に補助するのではなく、現場で働くスタッフを雇用し、カリフォルニア州で制作を継続させることが目的だったのです」
— スティーブ・ヒルトン氏の提案書より

カリフォルニア州の現状と課題

カリフォルニア州は2025年に映画税制優遇策を大幅に拡充し、年間上限を3億3000万ドルから7億5000万ドルに引き上げ、ストリーミング作品やアニメ、シットコムなどの対象を拡大した。その結果、カリフォルニア映画委員会は147件の映画・テレビ制作プロジェクトを承認し、前年比で53%増加した。しかし、ヒルトン氏はこの拡充策でも依然として国際競争力が不足していると指摘する。

ロサンゼルス郡における2025年の撮影日数は2024年から16%減少し、2万日を下回った。主要な映画・テレビカテゴリーの撮影日数は5年平均より30%以上低下しており、制作拠点の流出が加速している。スタジオは税制優遇策の手厚い他州や海外に制作を移転させ、地元の産業労働者の雇用機会が失われつつある。

出典: The Wrap