米国のトランプ政権は12日、MAGA(Make America Great Again)運動の敵と位置づける4者に対し、相次いで強硬な措置を講じた。このうち3者は直接的な攻撃の対象となり、元アンソニー・ファウチ顧問の起訴、ミネアポリスのソマリア系保育所への家宅捜索、人気司会者ジミー・キンメルに対する圧力が行われた。さらに、元FBI長官ジェームズ・コミーに対し、再び起訴状が送られた。

背景には、ガソリン価格の高騰、イランとの戦争の長期化、支持率の低迷といった厳しい状況下で、トランプ大統領が第二任期で推進する「報復キャンペーン」が加速している実態がある。特に、今月1日にパム・ボンディ前司法長官の解任後に司法長官代行に就任したトッド・ブランシェ氏が率いる司法省の動きが注目される。

1. COVID政策を巡る攻撃:元ファウチ顧問の起訴

司法省は、国立衛生研究所(NIH)の元上級顧問デビッド・モレンズ氏を起訴した。容疑は、COVID-19の起源に関する情報隠蔽を目的とした公的記録法の回避で、個人メールの使用が問題視されている。

ファウチ氏はMAGA支持者から「COVIDロックダウンやワクチン義務化の立案者」と非難され、ウイルスの起源を巡る「中国研究所リーク説」の隠蔽疑惑も根強い。モレンズ氏の起訴は、ファウチ時代のNIH幹部に対する初の刑事事件であり、保守層にとっては長年の悲願となった。ただし、科学界では依然として「研究所リーク説」の立証が困難な状況にある。

2. ミネアポリス:ソマリア系保育所への家宅捜索

連邦捜査当局はミネソタ州ミネアポリスで22件の家宅捜索令状を執行した。対象はソマリア系の保育所で、公的資金を不正受給した疑いが持たれている。この動きは、昨年YouTuberのニック・シャーリー氏が投稿した動画がきっかけで注目を集め、ホワイトハウスも関心を示していた。

今回の家宅捜索は、2月に米国人2人が死亡したICE(移民税関執行局)の大規模摘発以来、ミネアポリスへの連邦捜査当局の本格的な関与としては初めてとなる。ミネソタ州のティム・ウォルツ知事は州と連邦の共同捜査と強調したが、FBIのカシュ・パテル長官は民主党州幹部を批判し、取り締まりの主導権を主張した。

3. リベラル系深夜番組への圧力:ABCにライセンス更新命令

連邦通信委員会(FCC)は、ディズニー傘下のABCが運営する主要8局に対し、DEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)プログラムを巡る調査の一環として、ライセンス更新の早期提出を命じた。

この動きは、4月28日のホワイトハウス記者会見晩餐会で、ジミー・キンメル氏がメラニア前大統領夫人を「出産を控えた未亡人のような輝き」と表現した発言を巡る非難が再燃したことと無関係ではない。トランプ大統領と夫人もキンメル氏の解雇を求めており、昨年にはFCCのブレンダン・カー委員長が別の発言を理由にABCの加盟ライセンスを脅かしたこともあった。

4. コミー元FBI長官への再起訴:トランプ大統領への脅迫容疑

司法省はコミー氏を再び起訴した。容疑は2025年のSNS投稿で、貝殻を並べて「86 47(86は「追放」、47はトランプ大統領の意味)」と読ませたとして、大統領への脅迫とみなされたものだ。

コミー氏は2017年にトランプ氏によってFBI長官を解任された経歴を持ち、MAGA運動の象徴的な存在として常に批判の的となっている。

「トランプ政権の報復は、支持率の低下や戦争の長期化といった国内の課題が山積する中で、むしろ加速している。これは単なる選挙戦術ではなく、政権の政策遂行の一環と見るべきだ」
——政治アナリストのコメント

出典: Axios