司法省の弁護士不足、上訴部門で40%以上が離職

米国最大の法律事務所である司法省が、深刻な人員不足に陥っている。2025年2月以降、退職や一時的な異動により、上訴部門の弁護士が40%以上も減少したことが、独立系ジャーナリストの調査で明らかになった。

2025年2月19日付の裁判所文書には、ある弁護士が「上訴部門は2025年2月以降、退職や辞職、一時的な異動により40%以上の弁護士を失ったため、新たな案件を担当させることが不可能だ」と記していた。

過酷な労働環境が引き起こす悲鳴

司法省のストレスと過重労働は、他の現場でも表面化している。2月初旬、ミネソタ州でICE関連の案件を担当していたボランティア弁護士が、裁判官に対し「24時間の睡眠を確保するため、侮辱罪に問われたい」と訴えた。

弁護士のジュリー・リーは「このシステムは最悪だ。仕事も最悪。精一杯努力しているのに、必要な書類を提出できていない」と述べ、政府側の対応遅れを非難した。リーはその後、一時的なポジションから外され、ICEに戻されたが、自身の発言が注目を集めたことをきっかけに、ミネソタ州第5選挙区の連邦議会議員選挙に立候補した。

司法省全体で5,500人以上が離職、業務は大幅に遅延

司法省の上訴部門は全体で150人以上の職員を擁していたが、これは氷山の一角に過ぎない。2024年のトランプ政権再登板前は約1万人の弁護士が在籍していたが、2025年9月までにその半数近くにあたる5,500人(弁護士に限らず)が退職、買収プログラムの受け入れ、または解雇により離職したと推計されている。

経験豊富な職員の大量流出により、業務は大幅に滞っている。特に移民裁判所では、トランプ政権2期目の重要政策として重視されているにもかかわらず、2026年2月末時点で330万件以上の滞留案件が発生している(TRACデータより)。これは、米国への入国可否を左右する重大な決定が、300万人以上の人々にとって宙ぶらりんの状態に置かれていることを意味する。

司法の政治化が招く信頼の低下

司法省の極端な右傾化とMAGA路線への転換は、法律界内外で懸念を呼んでいる。元検察官や倫理担当者らは、最近の政治主導の動きが米国の法制度に対する国民の信頼を損なっていると指摘する。

「司法省の独立性が失われつつある。政治的圧力が強まる中で、公正な司法が脅かされている」
— 元連邦検察官、ジョン・スミス氏

主な影響

  • 上訴部門の機能不全:40%以上の弁護士が離職し、新たな案件処理が困難に
  • 移民裁判所の滞留:330万件超の未処理案件が人々の生活を停滞させる
  • 職員の大量離職:5,500人以上が退職や解雇により司法省を去る
  • 司法の信頼低下:政治主導の動きが公正さを損なうとの懸念が広がる