米国の研究開発政策に影響を与える法令や政策変更の動向を伝えるニュースサイト「リサーチ・ディベロップメント」によると、トランプ政権は国立科学財団(NSF)の独立諮問機関である国立科学委員会(NSB)の全委員を解任した。
NSBはNSFの年間約90億ドルに及ぶ基礎科学研究予算の方向性を決定し、承認する役割を担う。同委員会は連邦政府から独立した存在であり、科学的助言を政治的圧力や予算サイクルから隔離することが目的とされてきた。
委員解任の背景と反応
4月24日付の大統領人事局からの通知により、NSBの委員全員に解任が通知された。通知書には解任理由が記載されておらず、関係者からは驚きと失望の声が上がっている。
「政府の科学助言体制が系統的に破壊されていく様子を、私は深刻な懸念を抱きながら見守ってきた。国立科学委員会もその犠牲となった」
— ウィリー・E・メイ(元NSB委員、モーガン州立大学副学長)
米下院科学・宇宙・技術委員会の民主党筆頭メンバー、ゾーイ・ロフグレン議員(カリフォルニア州選出)は、この解任を「科学と米国のイノベーションを損なう愚かな行為の最新例」と批判した。
科学予算の大幅削減が進行
この解任劇は、米国の高等教育と研究予算に衝撃を与えた過去1年間の流れの延長線上にある。昨年はNSFが科学者への助成金を2015年から2024年の平均と比較して51%削減し、数百件の研究助成金を打ち切った。昨年5月にはNSF予算から50億ドルを削減する提案が行われたが、議会で却下された。さらに、2027会計年度の予算要求では、再びNSF予算の半分以上の削減が提案されている。
2026年2月に開催されたNSBの会合では、NSF幹部が助成金募集の削減を検討していると発言していた。
連邦政府全体の科学助言体制の再編も進行
トランプ政権は科学関連の助言機関の再編も進めており、科学機関の連邦諮問委員会152団体を廃止したほか、エネルギー省の全諮問委員会を1つに統合し、環境保護庁(EPA)の研究部門を解体した。
「近い将来、機能不全に陥った国立科学委員会の下では、同委員会が持つ独立した専門家による指導と監督が失われ、NSFがどのように使命を果たしているのか国民に伝える情報も不足することになる」
— グレッチェン・ゴールドマン(米国科学者連盟CEO)
科学政策の専門家らは、こうした動きが科学の独立性を脅かし、研究の発展を阻害する可能性を指摘している。