トランプ氏の「ゴールデンドーム」構想、宇宙タグ企業が担う

米国防総省は、地球周回軌道上で敵の弾道ミサイルを迎撃する「宇宙ベース迎撃システム」の開発で、新興の宇宙タグ企業インパルス・スペースと防衛テック企業アンドゥリル・インダストリーズを起用することを発表した。同システムは、トランプ前大統領が提唱する「ゴールデンドーム」と呼ばれる多層宇宙防衛網の一環とされる。

ブルームバーグが報じたところによると、両社は米国防総省と契約を結び、宇宙空間で敵ミサイルを破壊する「宇宙ベース迎撃機」のプロトタイプ開発に着手する。インパルス・スペースはアンドゥリルの下請け企業として参画する予定だ。

宇宙タグとは? その役割と実績

インパルス・スペースは、2021年に設立された比較的新しい企業で、宇宙タグ(軌道間輸送機、OTV)と呼ばれる衛星を開発している。宇宙タグは、他の衛星や宇宙機を異なる軌道に移動させる役割を担う。例えば、老朽化した気象衛星を静止軌道から低軌道に移動させ、大気圏で燃焼させることで、新しい衛星の配置スペースを確保する。

NASAは1960年代後半に宇宙タグの研究を開始したが、1970年代の予算削減により頓挫。2025年には再び低コストの宇宙タグに関する実現可能性調査を6社に委託し、そのうちの1社がインパルス・スペースだった。

インパルス・スペースの実績はまだ乏しく、2023年に初の宇宙タグを打ち上げたばかり。そのサイズは650ポンド(約295kg)で、大型の食器洗い機ほどの大きさだ。現時点で、宇宙タグが実際にミサイルを迎撃した実績はない。

専門家「実現性は低い」と指摘

宇宙防衛システムの専門家らは、トランプ氏の「ゴールデンドーム」構想について懐疑的な見方を示している。同構想は、1980年代のレーガン大統領による「スター・ウォーズ(SDI)」計画と同様、実現が困難との見方が多い。

「宇宙ベース迎撃システムは技術的なハードルが非常に高い。コストも膨大で、政治的な支持が続くかどうかも不透明だ」と、宇宙政策アナリストは語る。一方で、防衛産業への投資拡大が見込まれるため、関連企業には一定の利益がもたらされる可能性がある。

関連ニュース:中国、軌道上給油に「タコ足」型ロボットアームを実験

宇宙開発の分野では、中国が新たな技術実験に乗り出している。中国の新型宇宙船が、軌道上で他の衛星に燃料を補給するためのタコの触手のようなロボットアームをテストしたと報じられた。この技術は、衛星の寿命延長や宇宙ゴミの削減に貢献する可能性がある。

※本記事は、米国の宇宙防衛政策に関する報道を基に、専門家の見解を交えて解説したものです。

出典: Futurism