ニューヨーク・タイムズが写真家を擁護
ニューヨーク・タイムズは5日、ガザ出身の写真家サヘル・アルゴラ氏が2026年のピュリッツァー賞「速報写真部門」を受賞したことを受け、同氏に対する「根拠なき非難」を否定する声明を発表した。
同紙の写真部長メーガン・ローマは、アルゴラ氏について「紛争を取材するジャーナリストにとって、これは過酷な状況だ。しかしサヘルは単にこの戦争を 記録するだけでなく、自らもその中で生活し、同じ苦難と危険に直面している」と述べた。さらに「想像を絶する困難にもかかわらず、彼は日々使命に全力を注ぎ、視覚的な特派員として力強い写真と報道を届けている」と称賛した。
受賞の背景と批判の的となった過去の写真
アルゴラ氏は、イスラエル・パレスチナ戦争下のガザにおける大規模な飢餓を撮影したシリーズで受賞した。しかし、昨年の夏に掲載された「飢餓に苦しむガザの子ども」と題された写真が、物議を醸していた。
同写真は、ガザの食糧不足を報じる記事に掲載されたもので、被写体のモハメド・ザカリア・アルムタワク(当時18カ月)が先天的な健康問題により背骨が突出し、極度の栄養失調を呈していた。イスラエル批判派は「イスラエルが意図的にガザ住民を飢餓に追い込んでいる証拠」と主張したが、同紙は5日後に訂正記事を掲載し、同児の健康状態について説明した。
この訂正を受け、アルゴラ氏の受賞に対する疑問の声が上がっている。一部メディアは「演出されたシーン」や「ハマスとの関係」を指摘したが、具体的な証拠は示されていない。
「根拠なき攻撃」とニューヨーク・タイムズの反論
イスラエル寄りのメディア監視団体「オネストリポーティング」は5日、アルゴラ氏の受賞について「演出されたシーンと捏造された飢餓 narrative、ハマスとの密接な関係に基づく受賞」と非難した。同団体はツイッターで「ピュリッツァー賞がニューヨーク・タイムズの写真家サヘル・アルゴラ氏の受賞を決定したが、その根拠は演出されたシーンと捏造された飢餓 narrative、ハマスとの関係にある」と主張した。
これに対し、ニューヨーク・タイムズは「サヘル・アルゴラはガザで飢餓と栄養失調に苦しむ数百人の子どもたちを撮影し、危険を冒してジャーナリズムを実践してきた。彼の活動に対する攻撃は根拠がない」と反論した。
アルゴラ氏の活動と受賞の意義
アルゴラ氏は、戦争下のガザで活動する数少ない現地ジャーナリストの一人であり、同紙は「彼の写真は戦争の惨状をリアルに伝える貴重な記録」と評価している。受賞は、紛争地の現実を伝えるジャーナリズムの重要性を改めて示すものとなった。