ハンタウイルス感染症とは?
南米発のクルーズ船「MVホンディウス」でハンタウイルス感染が拡大し、3人が死亡、5人が感染、147人が隔離される事態となっている。新型コロナウイルスの流行を思い起こさせる展開に、世界中が注目している。
専門家「パンデミックの恐れは低い」
ハンタウイルスは新型コロナウイルスのように急速に感染拡大する可能性は低いと専門家は指摘する。ジョンズ・ホプキンス健康安全保障センターの上級研究員アメッシュ・アダルジャ氏は「公衆衛生上の緊急事態であっても、必ずしもパンデミックにつながるわけではない」と語った。
ハーバード大学疫学准教授のビル・ハナージ氏も「大規模な緊急事態に発展する可能性は事実上ない」と述べ、感染拡大阻止に向けた取り組みの重要性を強調した。
クルーズ船内で起きた感染拡大の経緯
以下は、世界保健機関(WHO)によると、4月1日にアルゼンチンを出港し、南大西洋の島々や南極大陸へ向かう予定だった「MVホンディウス」号で起きた出来事のタイムラインだ。
- 4月6日:南米で旅行歴のあるオランダ人男性が、発熱、頭痛、下痢の症状を発症。
- 4月11日:男性の症状が悪化し、死亡。
- 4月24日:男性と接触のあった女性が、セントヘレナ島(大西洋上のイギリス領)で下船。胃腸症状を呈していた。
- 4月26日:女性が南アフリカのヨハネスブルグに到着後、死亡。5月4日の死後の検査でハンタウイルス感染が確認された。
- 4月26日:船内で別の男性が呼吸困難の症状を発症し、急速に悪化。
- 4月27日:男性は南アフリカへ医療搬送され、5月2日の検査でハンタウイルス感染が確認。現在、集中治療室で治療中。
- 4月28日:2人目の女性が体調不良を訴え、5月2日に死亡。
- 5月4日現在:この他、3人が胃腸症状と高熱を訴えており、ハンタウイルス感染が疑われている。船内には147人が隔離されている。
5月上旬にハンタウイルス感染が確認される前、少なくとも30人の乗客が既に下船していた。彼らは現在、世界各地で治療または経過観察中だ。米国(ジョージア州とアリゾナ州で無症状患者が観察中)、英国、シンガポールなどで確認されている。
クルーズ船は現在、スペイン領カナリア諸島へ向かっており、医療支援を受ける予定となっている。
ハンタウイルス感染症の特徴
ハンタウイルスは主にネズミなどのげっ歯類が媒介するウイルスで、感染者の咳やくしゃみ、尿や糞便に触れることで感染する。人から人への感染は稀とされており、新型コロナウイルスのような空気感染は起こらない。
主な症状は発熱、筋肉痛、頭痛、悪寒、腹痛、嘔吐など。重症化すると肺水腫や腎不全を引き起こすことがあり、致死率は30〜40%と高い。
感染を防ぐための対策
- ネズミの駆除:住居や職場周辺のネズミの駆除を徹底する。
- 清掃の徹底:ネズミの糞尿があった場所は、消毒用マスクと手袋を着用して清掃する。
- 食品の保管:食品は密閉容器に保管し、ネズミが近づけないようにする。
- 手洗いの励行:外出後や食事前には必ず手を洗う。
まとめ
ハンタウイルス感染症は新型コロナウイルスとは異なり、人から人への感染拡大は起こりにくいとされている。しかし、致死率が高く、重症化するリスクがあるため、感染拡大を防ぐための対策は重要だ。クルーズ船での感染拡大は、公衆衛生当局にとっても大きな試練となっている。