フロリダ州が、これまでのAP米国史(Advanced Placement United States History)に代わる独自のカリキュラムを導入した。一部では「反リベラル」や「保守的」といった表現が用いられているが、実際には従来のカリキュラムよりもバランスが取れており、西欧の啓蒙主義や建国の理念を重視した内容となっている。
この新しいカリキュラムでは、ヒルズデール大学教授ウィルフレッド・M・マクレーの著書「Land of Hope: An Invitation to the American Story」が推奨教科書として採用されている。同書は、歴史を単に批判するのではなく、その時代の文脈や課題を踏まえた上で、米国の歴史的偉業と課題の両方をバランス良く描写していると評価されている。
マクレーは、歴史教育における現代の問題点について次のように指摘する。「現在の大きな罪の一つは、過去を軽視し、知ろうともせずに過去を裁くことだ。過去の文脈やその時代の課題を理解しようとしない限り、公平な歴史観を得ることはできない」と述べており、歴史教育の在り方について新たな視点を提供している。
また、経済学者マーク・C・シュグは同書のレビューで、従来の教科書が産業革命後の経済発展を「強欲な資本主義の弊害」として描写する一方で、マクレーの著書は経済成長の意義と政府の規制のバランスを重視していると解説している。例えば、反トラスト法や連邦準備制度、鉄道規制などの進歩主義的な政策についても、その功罪を丁寧に評価する内容となっている。
マクレーはインタビューで、「多くの教科書は詳細過多で党派的な偏見に満ちており、学生たちは米国史を混乱し、無知なまま成人し、自由社会の一員としての責任を果たす準備ができていない」と指摘。その上で、「米国は人種的不平等や外交上の失敗など多くの課題を抱えているが、それらを直視しつつも、建国の理念や価値観との整合性を重視した教育が必要だ」と述べている。
「歴史教育の目的は、過去の過ちを繰り返さないために学ぶことであり、単に過去を批判することではない。バランスの取れた視点こそが、真の歴史理解につながるのだ」
— ウィルフレッド・M・マクレー
この新しいカリキュラムは、米国史を単に「批判すべき対象」としてではなく、建国の理念や西欧の啓蒙思想を基盤に、より包括的で建設的な歴史観を学生に提供することを目指している。フロリダ州の取り組みは、歴史教育の在り方に新たな議論を巻き起こす可能性がある。