米国最高裁は12日、フロリダ州のロン・デサンティス知事が主導する共和党優位の新しい下院議席案に対し、部分的な支援を表明した。しかし、知事側が主張する「完全勝利」には至らず、州全体の選挙区改正法案が廃止されるかどうかは依然不透明な状態が残った。
背景には、フロリダ州議会が党派的なゲリマンダーを禁じる州憲法修正条項を無視し、共和党に有利な議席配分を承認した経緯がある。デサンティス知事が法案に署名すれば、民主党やリベラル団体が即座に訴訟を起こす見通しだ。
最高裁の判断が及ぼす影響
最高裁は同日、ルイジアナ州の選挙区改正に関する判決「ルイジアナ州対カレー事件」において、投票権法第2条に基づく人種差別撤廃を目的とした選挙区改正の訴訟基準を厳格化する判断を示した。これにより、人種を基準とした選挙区の正当性を巡る訴訟が困難になった。
フロリダ州は、州憲法で投票権法第2条と同様の条項を設け、黒人やヒスパニック系住民の選挙権を保護していた。しかし、最高裁の判断はこの条項の効力を直接否定するものではないものの、人種を基準とした選挙区の維持が難しくなる可能性を示唆している。
その一方で、フロリダ州憲法には「政党や現職議員を有利に扱う選挙区改正を禁じる」条項も存在する。最高裁の判決はこの条項には影響を与えず、党派的なゲリマンダーに対する直接的な制限とはならない。
デサンティス知事の戦略と課題
デサンティス知事は、州憲法修正条項が「人種的ゲリマンダーを容認する」として無効だと主張している。知事側のスタッフは、選挙区改正に際し人種を考慮していないと主張する一方で、選挙成績データを参考にしたことを認めている。
今後の行方は、フロリダ州最高裁の判断に委ねられる見通しだ。デサンティス知事は、中間選挙を前に3段階の法廷戦略を展開し、反対派の訴訟を封じ込める構えだ。
選挙区改正の政治的影響
デサンティス知事が提案する選挙区改正案では、黒人有権者向けに設定された議席が完全に廃止されるわけではない。しかし、民主党寄りの黒人有権者を少数の選挙区に集中させることで、周辺の選挙区を共和党に有利な構図に変える狙いがあると指摘されている。
「この法案は、最高裁がまだ判断を示していない法理論に基づいている。憲法違反だ」
— 共和党のジェン・ブラッドリー州上院議員(法案に反対票を投じた)
ブラッドリー議員は委員会でこのように述べ、法案の違憲性を強調した。一方で、デサンティス知事の選挙区改正案は、共和党にとって政治的なメリットをもたらす可能性が高いとの見方もある。
今後の展望
最高裁の判決は、人種を基準とした選挙区改正に対する制限を強化したが、党派的なゲリマンダーそのものを容認するものではない。フロリダ州の選挙区改正を巡る攻防は、今後も法廷で続くとみられる。