ハントウイルス予測市場で300万ドル超の投資が集中
米国の予測市場プラットフォーム「Polymarket」で、ハントウイルスのパンデミック発生リスクに関する賭けが急速に注目を集めている。直近4日間で、ユーザーによる投資額は300万ドル(約4億5,000万円)を超え、その動向が世界的に注目されている。
クルーズ船での集団感染が引き金に
先月、あるクルーズ船で致死率の高いハントウイルスの変異株による集団感染が発生し、8人の感染者のうち3人が死亡した。この出来事が、ハントウイルスに対する不安を煽り、Polymarket上でハントウイルス関連の予測が急増するきっかけとなった。
WHO「新型コロナとは異なる」と警戒感を否定
世界保健機関(WHO)のマリア・ヴァン・ケルコフ疫学・パンデミック対策部長は、先日の記者会見で「これは新型コロナの始まりではありません。インフルエンザでもありません」と述べ、ハントウイルスがパンデミックに発展するリスクは低いと強調した。同ウイルスは、人から人への感染には密接な接触が必要であり、感染者が他人に感染させる期間はわずか1日程度とされている。
予測市場の拡大とギャンブル依存症の懸念
Polymarketでは、ハントウイルスのパンデミック発生のほか、今年中のワクチン開発や、クルーズ船の感染が「研究所漏洩」によるものかどうかといった予測にも多額の資金が投じられている。同プラットフォームは、2018年の米最高裁判決によりスポーツ賭博が合法化された後、急速に成長。2020年の新型コロナパンデミックを機に、感染者数や死亡者数の予測など、公衆衛生に関わる賭けが急増した。
カリフォルニア大学サンディエゴ校の公衆衛生学教授、ジョン・W・エイヤーズ氏は「ウイルスの拡散に賭ける人々は、ギャンブル依存症の可能性が高い」と指摘。同氏が昨年発表した研究によると、スポーツ賭博合法化後、ギャンブル依存症に関するGoogle検索が全米で23%増加したという。また、18~30歳の男性の約10%がギャンブル問題を抱えているとの推計もある。
KalshiやPolymarketといったプラットフォームは利用者の増加に伴い、ニッチな予測の種類を拡大。新型コロナパンデミックを契機に急成長を遂げ、現在は公衆衛生から政治、経済まで、あらゆる事象に対する予測が可能となっている。
「ハントウイルスは新型コロナとは全く異なる。感染経路や拡散の仕方が根本的に違う。過度な不安を煽るべきではない」
マリア・ヴァン・ケルコフ(WHO疫学・パンデミック対策部長)
法規制の変化が後押し
2024年の裁判所判決により、予測市場の規制が緩和され、PolymarketやKalshiといったプラットフォームでは、公衆衛生危機を含む幅広いテーマでの賭けが合法化された。これにより、ユーザーは感染症の流行規模やワクチン開発の成否など、かつてはタブー視されていた分野にも自由に投資できるようになった。
専門家らは、こうした予測市場の拡大がギャンブル依存症のリスクを高める可能性を懸念。エイヤーズ氏は「特に若年層の間で、ギャンブル依存症が深刻化している」と警鐘を鳴らす。