米国メイン州で、州全体の大規模データセンター建設を一時停止する同州初の法案が、民主党のジャネット・ミルズ知事によって拒否された。同法案は議会で可決されたものの、知事は「理論的には一時停止が適切」としながらも、経済的影響を理由に拒否権を行使した。

知事は声明で、同州ジェイ市に建設中のデータセンターが800人の一時雇用と100人の常勤雇用を創出すると主張。同センターの経済効果を重視し、法案を否決した形だ。

産業界から歓迎、環境団体から批判

データセンター業界のロビー団体「データセンター連合」のスポークスパーソン、ダン・ディオリオ氏は「州全体のデータセンター建設一時停止は投資を阻害し、メイン州がビジネスに閉鎖的であるとのシグナルを送る」と指摘。さらに「地元コミュニティがデータセンター事業による雇用機会を得る機会を奪う」と主張した。

一方で環境団体「フード・アンド・ウォーター・ウォッチ」のミッチ・ジョーンズ氏は「知事の拒否は、メイン州民、議員、そして全国的な反対運動との著しい乖離を示す」と批判。さらに「データセンターは電気料金の高騰、雇用の虚偽、地域社会の産業化を引き起こす」と述べた。

知事はデータセンターの影響調査を指示

ミルズ知事は、大規模データセンターの潜在的影響を調査するための委員会設置を命じる行政命令に署名。これにより、同州におけるデータセンターの影響が包括的に検討される見通しだ。

政治的な波紋も

ミルズ知事は6月の上院議員選挙で、データセンター一時停止法案を支持したグラハム・プラットナー候補と激戦を繰り広げている。世論調査ではプラットナー候補がミルズ知事を二桁リードしており、知事の拒否権行使が選挙戦に影響を与える可能性も指摘されている。

全米では、既に12州でデータセンター建設の一時停止法案が検討されており、数十の自治体では同様の条例が既に成立している。バーモント州のバーニー・サンダース上院議員とニューヨーク州のアレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員は3月に全国的な一時停止を提案。調査団体「グッド・ジョブス・ファースト」のグレッグ・ルロイ氏は「1年前までは誰もデータセンターの一時停止を検討していなかったが、今や4分の1の州で議論が進んでいる」と述べた。