米首都ワシントンD.C.で2026年4月25日に開催されたホワイトハウス記者協会晩餐会の会場外で銃撃事件が発生し、容疑者が逮捕された。容疑者のコール・トマス・アレンは、一般的な民主党支持者と見分けがつかない「普通の男性」であった。彼の主張は、ドナルド・トランプ前大統領を「法を無視した腐敗した指導者」と批判し、移民政策の厳格化や戦争犯罪の疑惑、米国民主主義への脅威といった一般的なリベラル層の主張と酷似していた。

米国の政治暴力研究の第一人者5人に取材したところ、意見は一致しなかったが、共通して浮かび上がったのは「政治的暴力のリスクは、政治が存亡の危機に直面していると人々が信じるときに高まる」という点であった。白人至上主義者による「置換説」や2020年選挙の「不正」主張、米国民主主義の「死」といった過激なレトリックが、暴力を助長する可能性が指摘された。

その一方で、政治的対立の平和的解決への道筋を示すことで、リスクは大幅に軽減されるという。アレンと同様の主張を持つとされる、マーアラゴでトランプを狙撃しようとしたライアン・ラウスや、ルイジ・マンギオーネ、タイラー・ロビンソンらの事件も、いわゆる「ノーミー・エクストリーム(普通の過激主義者)」と呼ばれる現象の一例とされている。彼らは中道左派の一般的な主張を掲げつつ、過激派に典型的な暴力行為に及ぶ点で注目を集めている。

ただし、この「ノーミー・エクストリーム」というカテゴリーが本当に存在するのかは議論の余地がある。これまでの事例は少なく、動機や背景も多様であるため、共通点を見出すのは難しい。また、多くの事件が裁判にかけられておらず、動機の全容はまだ明らかになっていない。

こうした状況下で浮上する疑問が、「リベラル層のトランプ批判が暴力を助長しているのか」という点だ。しかし、この疑問を「現実のもの」として認めることは、政府がジェイミー・キンメルやジェームズ・コミー、一般市民を標的にするような不誠実な動きを肯定することにはならない。また、民主党のレトリックを批判しながらも、政治システムにおいて暴力を煽る存在であるトランプを擁護する共和党の二重基準も見逃せない。

出典: Vox