「仕事に行かなければ」という決断

私は、突然の夫の死からわずか2カ月後、精神科のクリニックの前で車を止めていた。扉の向こうには、患者としてではなく、治療者として向かう自分がいた。3日間の休暇を終えた後も、仕事に戻る気力はなかった。医師から「急性ストレス障害」と診断され、2カ月の短期障害休暇を取得したが、それでも心の準備はできていなかった。しかし、家賃は待ってくれない。車の中で、私は長年クライアントに伝えてきた言葉を自分自身に投げかけた。「強く感じなくても、強くいられる。今は、今できることをするだけでいい」と。そうして車を降り、オフィスへと向かった。

誰もが経験する「崩れそうな日々」

私の状況は特別ではない。人生が崩れそうな時、私たちは仕事に向かわなければならない。むしろ、お金と福利厚生が最も必要な時だからこそ、仕事を続ける必要がある。しかし、そんな状況でいかにプロフェッショナルでいられるかを語る人は少ない。精神科医としての経験から、どんなに辛い時でも仕事を続けるための具体的な方法を紹介する。

「心の強さ」を保つ3つの戦略

スポーツの試合でコーチがプレイブックを持って臨むように、仕事に向かう時も「心のプレイブック」が必要だ。以下の3つの戦略は、私があの日を乗り越えるために使った方法であり、今でも実践しているものだ。

1. 「心配する時間」をスケジュールに組み込む

夫を亡くした直後、私は多くの不安に苛まれた。今月の家賃はどうすればいいのか、車のオイル交換はいつできるのか、暖房装置の異音は故障のサインではないか──。そこで私は、毎日「心配する時間」を設けることにした。心配することを許可することで、不安な思考が仕事中に邪魔をしなくなったのだ。

なぜ効果的か?

人は不安な思考を抑え込もうとすると、逆にその思考が頻繁に浮かぶようになる。研究でも、思考を抑制すればするほど、侵入的な思考が増加することが示されている。そこで、心配する時間を明確に設けるのだ。毎日15分、同じ時間・同じ場所でカレンダーに予定を入れる。その時間になったら、思うままに心配をさせる。15分が経過したら、その時間は終了。立ち上がって、他のことに集中しよう。

心配がスケジュール外で浮かんできたら、「今は心配する時間じゃない」と自分に言い聞かせる。この方法で、心配がコントロールできるようになる。

2. 「小さな目標」を立て、達成する

仕事に戻った当初は、何もかもが負担に感じられた。しかし、1日の中で達成できる小さな目標を立てることで、少しずつ前進することができた。例えば、「メールを5通返信する」「会議に30分だけ参加する」といった具合だ。小さな成功体験が、自信とモチベーションを取り戻すきっかけになった。

目標設定のコツ

  • 達成可能な具体的な目標を立てる
  • 目標は1日の中で完了できる範囲にする
  • 達成したら、自分を褒める

3. 「サポートシステム」を活用する

仕事を続ける上で、周囲のサポートは不可欠だ。私は職場の上司や同僚に自分の状況を伝え、理解を求めた。また、友人や家族にも助けを求め、時には仕事の負担を軽減してもらった。サポートシステムを構築することで、孤独感を和らげ、仕事に集中しやすくなった。

サポートを受ける勇気

「弱みを見せるのは良くない」と感じる人もいるかもしれない。しかし、助けを求めることは決して弱さではない。むしろ、自分自身と周囲の人々を大切にする強さの表れだ。必要な時には、遠慮せずにサポートを受けよう。

まとめ:仕事と心のバランスを取るために

人生が崩れそうな時、仕事を続けることは容易ではない。しかし、そんな時だからこそ、自分自身をケアしながら、一歩ずつ前に進むことが大切だ。心配する時間を設け、小さな目標を達成し、サポートシステムを活用する。これらの方法は、仕事と心のバランスを取るための強力なツールとなるだろう。

「人は誰もが、人生の困難な時期を経験する。しかし、その経験があなたを強くするのではない。その経験を乗り越えるための方法を見つけることが、あなたを強くするのだ。」

Psychology Today

あなたも今、仕事と心のバランスに悩んでいるのなら、ぜひこれらの方法を試してみてほしい。そして、決して一人で抱え込まないでほしい。必要な時には、周囲のサポートを受け入れ、一緒に乗り越えていこう。