日本の自動車産業は数多くの名作ホイールを生み出してきたが、その中でもレーシングサービス・ワタナベ(RS Watanabe)のホイールは特に人気を集めている。特に「ハコスカ」と呼ばれる日産スカイラインGT-R(KPGC10)との相性は抜群で、手作りによる限定生産ゆえに入手困難な状況が続いている。現在、同社のホイールは2年待ちという状況だ。
そんな中、日本の伝統的な製造工程を映像で紹介するYouTubeチャンネル「Japanese Industry Process」が、RS Watanabeのホイール製造工程を50分にわたって詳細に紹介している。アルミニウムとマグネシウムの両方の素材を用いた製造工程が、映像を通して一挙に公開されている。
アルミニウムホイールの製造工程
まず、アルミニウムホイールの製造は、溶解から始まる。工場の床に設置された小型の溶解炉で、アルミニウム(および端材)を1,292度まで加熱する。溶解されたアルミニウムは、黒鉛コーティングされたバケツですくい取られ、型の準備が行われる。
型は2つの半分と、ホイールのハブとスポークを反転させた形状のコアで構成される。これらの型は加熱され、埃を除去するためにエアスプレーがかけられた後、離型剤が塗布される。型をしっかりと固定した後、溶解したアルミニウムが流し込まれ、圧力をかけながら冷却される。
マグネシウムホイールの伝統的な砂型鋳造
一方、マグネシウムホイールの製造には、さらに伝統的な砂型鋳造が用いられる。型は圧縮された砂で作られ、強度を最大化し水分を除去するために慎重に加熱・乾燥される。これは、水分が残っているとマグネシウムと激しく反応してしまうためだ。型は砂の山に設置され、溶解したマグネシウムが流し込まれた後、型を壊してホイールが取り出される。
仕上げ工程と意外な近代技術
型から取り出されたホイールは、まだ完成品ではない。余分なアルミニウムはハンマーやのこぎりで除去され、表面は研磨される。凹みなどの修正は、TIG溶接で材料を盛り、再び研磨して滑らかに仕上げられる。一部の仕上げ工程ではCNCマシンが使用されるが、これは工場内の他の工程と比較するとかなり近代的な設備と言える。その一方で、ボルト穴の加工はドリルプレスを使った手作業で行われている。
最後に、ホイールにはグレーの塗装が施され、梱包されて出荷される。
「伝統的な技術で作られたホイールだからこそ、今でも多くのファンに愛されているのでしょう。金属片から、世界的に認知されたレーシングホイールへと姿を変える工程は、まさに職人技の結晶です」
この映像を通して、RS Watanabeのホイールがいかに手間と時間をかけて作られているかが明らかになった。伝統的な製造工程と一部の近代技術が融合したその姿は、まさに「職人の技」と呼ぶにふさわしいものだ。