カリフォルニア州知事選挙は、州民だけでなく全米に影響を与える重要な選挙だ。連邦政府が米国の民主主義を内部から破壊しつつある今、同州の指導者がいかに連邦政府に対抗し、州の権限を行使するかが、国家全体の行方を左右する。

現職のギャビン・ニューサム知事は、トランプ政権に対する全国的な抵抗のリーダーとしての立場を打ち出してきたが、2028年の大統領選挙出馬に向けて準備中だ。そのため、次期知事の政策が実質的な焦点となる。6月2日の予備選挙(ジャングルプライマリー)では、党派を問わず上位2名が決選投票に進むが、現在の情勢は接戦で、複数の候補が激しくしのぎを削っている。

そんな中、億万長者でリベラル運動の支援者であるトム・ステイヤー氏が、最有力候補の一人として浮上している。ステイヤー氏は、民主党の選挙区割り操作(ゲリマンダー)支援や、トランプ前大統領の弾劾運動の初期段階からの関与など、リベラル勢力を支援してきた。さらに、バーニー・サンダース氏が率いる「アワー・レボリューション」からの支持を獲得し、ICE(移民税関執行局)職員やホワイトハウス幹部の犯罪捜査を含む、連邦政府への強硬な対抗策を公約している。

ステイヤー氏のビジョン:州の役割と連邦政府への対抗

筆者はステイヤー氏に対し、米国史におけるこの時期に州の指導者としての役割について、また連邦政府への対抗がもたらすリスク(国民の信頼低下や法的境界の逸脱による危険な対立)について質問した。以下は、そのインタビューの要旨である。

「米国政治は独裁的な危機にある」

「米国は今、独裁的な脅威に直面しています。選挙権を含む民主主義的権利を奪おうとするトランプ政権の意図的な試みは、世界各国で見られる独裁的・反民主主義勢力が民主主義のプロセスを利用して民主主義を破壊するモデルそのものです。これは明らかに危機であり、民主主義を信じる者にとっては、立ち上がってこれに抵抗する必要があります。しかし、米国の既得権益層には、この危機に対する失望しか感じられません。」

ステイヤー氏は、米国が直面する独裁的脅威を強く認識しており、州レベルでの抵抗が不可欠だと主張する。特に、移民政策の主導者であるスティーブン・ミラー氏の逮捕を公約に掲げ、連邦政府の政策に対する州の権限行使を強調している。

州の権限行使と法的リスク

ステイヤー氏は、州が連邦政府に対抗する際の法的・政治的リスクについても言及した。例えば、ICE職員の犯罪捜査やホワイトハウス幹部の調査は、連邦政府との法廷闘争に発展する可能性がある。しかし、ステイヤー氏は「民主主義を守るためには、時には法的な境界を超える勇気も必要だ」と述べ、州の権限行使の重要性を強調した。

また、ステイヤー氏は、カリフォルニア州が米国の民主主義を守る「防波堤」となるべきだと主張。同州の経済力と人口規模を背景に、連邦政府の政策に対する強力なカウンターパワーとして機能する可能性を示唆した。

選挙戦の行方とステイヤー氏の戦略

6月2日の予備選挙では、民主党・共和党を問わず上位2名が決選投票に進む。ステイヤー氏は、最も進歩的な候補として支持を集める一方で、選挙戦では「連邦政府への対抗」を前面に押し出している。特に、移民政策の主導者であるスティーブン・ミラー氏の逮捕を公約に掲げ、注目を集めている。

ステイヤー氏の戦略は、カリフォルニア州の強力なリベラル層と、全国的な反トランプ運動の支持を結集することにある。しかし、選挙戦は依然として接戦で、他の候補者も州の権限行使や連邦政府への対抗策を掲げており、今後の動向が注目される。

出典: Vox