米下院は15日、共和党内の造反により議事進行が停滞し、主要法案の審議入りに必要な手続き投票が暗礁に乗り上げた。与党共和党の指導部は、FISA(外国情報監視法)の恒久延長、農業法案、ICE(移民・関税執行局)と国境警備隊の予算を盛り込んだ包括的措置を、休会前の1週間で成立させようとしたが、党内の反対派が反発を強めている。

下院議長のマイク・ジョンソン氏(共和党・ルイジアナ州)は、3つの法案を1つの手続き投票にまとめる強行策を採ったが、これが裏目に出た形だ。FISA改正案に関し、先週行われた修正案(監視対象者への令状要件付与)が保守強硬派の支持を得られず、さらにデジタル通貨の中央銀行発行禁止条項を追加したが、上院側はこれを受け入れず、同法案は上院で行き詰まっている。

また、農業法案にE15エタノール関連条項を盛り込んだことで、一部共和党議員の反発を招き、採決の見通しはさらに不透明になった。ホワイトハウスは上院と歩調を合わせ、政府機関の長期閉鎖を回避するため、下院に対しDHS(国土安全保障省)予算の早期成立を求めているが、下院共和党はICEとCBP(国境警備隊)の予算確保を優先し、妥協に応じない構えだ。

FISA延長期限が迫る

FISA第702条に基づく監視プログラムは、17日夜にも失効する見通しだ。議会が対応を怠れば、米国の諜報活動に重大な支障をきたす可能性がある。ジョンソン氏は、党内の造反議員を説得すべく、直前の譲歩を繰り返したが、保守強硬派はなおも令状要件の導入を求めている。

手続き投票の乱用が常態化

手続き投票は通常、与党が自動的に通過させるものだが、共和党は近年これを党内の指導部への抗議手段として悪用してきた。ジョンソン議長の下でも、党内の反対派が手続き投票で造反を繰り返し、指導部に対し譲歩を迫るケースが頻発している。昨年には手続き投票の最長記録が更新されたが、今回も同様の展開が懸念される。

今後の展開と影響

共和党指導部は、造反議員の説得に向け、投票を長時間にわたって続ける戦術を取る見込みだ。しかし、党内の分裂が深刻化する中、下院の機能不全が指摘されており、上院共和党からも懸念の声が上がっている。主要法案の成立が困難な状況が続けば、政府機関の閉鎖リスクや国家安全保障上の問題に発展しかねない。

「手続き投票でさえ通らない状況は、共和党内の混乱を如実に示している。このままでは、議会の機能不全が恒常化しかねない」
— 政策アナリストのコメント
出典: Axios