米国の医療専門誌「STAT」によると、生後13カ月のアダムくん(仮名)は、重篤な遺伝性疾患の治療のために遺伝子治療を受けた。その後、脳にゴルフボール大の腫瘍が発見されたという。

アダムくんは、幹細胞移植が失敗した後、医師から2つの選択肢を提示された。1つは2度目の移植で、死亡リスクが10~15%と説明された。もう1つは新しく実験段階の遺伝子治療だった。両親のメアリー・ベスとデイブ・ブレナンさんは、アダムくんが1度目の移植で命の危機を経験したことを知っていたため、遺伝子治療を選択した。

遺伝子治療後、アダムくんは順調に回復し、人生の節目を迎え、手話を習得するまでになった。しかし昨年、定期検査で脳に腫瘍が発見されたのだ。

遺伝子治療ウイルスが原因か

医師らは、遺伝子治療に用いられたウイルスが腫瘍の原因となった可能性を指摘している。これは世界でもまれな事例とされ、専門家の間で議論を呼んでいる。

遺伝子治療は、病気の原因となる遺伝子を修正する治療法だが、使用されるウイルスベクターが正常な細胞に影響を与えるリスクも指摘されている。今回のケースでは、遺伝子治療後に腫瘍が発生したことから、ウイルスベクターの関与が疑われている。

今後の治療と課題

アダムくんの両親は、現在も治療を続けながら、息子の回復を願っている。一方で、遺伝子治療の安全性について再考を迫られる事例となった。

専門家らは、遺伝子治療のリスクとベネフィットを慎重に評価する必要性を訴えている。今後、同様の事例が起こらないよう、治療プロトコルの見直しが求められている。

出典: STAT News