「Parking Garage Rally Circuit」(以下、PGRC)は、1990年代のアーケードレースを彷彿とさせる独特の魅力で注目を集めるインディーゲームだ。発売前の2024年にプレイした当時は、現在の半分のコース数で、マルチプレイヤー機能もサウンドトラックも存在しなかった。しかし、このたび「European Tour」DLCのリリースにより、コース数は8から16に倍増。スカパンクバンド「The Holophonics」による新曲も追加され、さらなる進化を遂げた。

PGRCの魅力は、その遊び方にある。プレイヤーは、奇抜なレイアウトの駐車場を舞台に、最速タイムを目指す。操作感は「マリオカート」に近く、基本的には直線的なコースが多いが、ドリフトボタンと長時間のドリフトによるブースト機能が特徴だ。一人プレイではAIとのレースとなるが、オンラインでは友人と対戦が可能で、車同士の接触もオン・オフで設定できる。

新たに追加された8つのコースには、イギリス・ヨークの「York Castle Car Park」やドイツ・ハンブルクの「Hamburg Concert Hall」など、ヨーロッパ各地の駐車場がモデルとなっている。中でも注目は、イタリア・トリノにあるフィアットの象徴的な工場「Lingotto」の屋上テストコースを再現したコースだ。その魅力的で創造的なコース設計は、PGRCの独自性を象徴している。

しかし、PGRCは単なるカジュアルなレースゲームではない。その操作システムは、熟練プレイヤーにとっては高いスキルを要求する。例えば、軽量級車両「Tatsugi Zippi」の通常最高速度は時速34マイル(約54.7km/h)だが、ドリフトブーストを連続して行うことで、この制限を超えることができる。さらに、ブーストを繰り返すことで、通常時の2倍、3倍の速度まで加速することも可能だ。このため、PGRCには明確なスキルの天井が存在せず、プレイヤーの反射神経がそのまま成績に直結する。

熟練プレイヤーは、直線コースであっても常にドリフト状態を維持し、ブースト機会を逃さない。これは、かつて「マリオカートDS」で圧倒的な強さを誇ったプレイヤーたちのプレイスタイルに近い。しかし、筆者のようにコーナー以外でのドリフトを好まないプレイヤーにとっては、PGRCのプレイスタイルは煩わしく感じられるかもしれない。シングルプレイではゴールドメダル獲得が難しいと感じるかもしれないが、その場合は無理に挑戦する必要はない。

「PGRCは、スキルの限界をプレイヤー自身の反射神経に委ねた、真のレースゲームだ」
— Adam Ismail, Walaber Entertainment

PGRCの最大の魅力は、その自由度の高さにある。コースのレイアウトや操作性、さらには音楽まで、プレイヤーの好みに合わせてカスタマイズできる要素が豊富だ。特に、新たに追加されたヨーロッパ各地のコースは、その土地の特色を反映しており、まるで実際に訪れているかのような気分を味わえる。フィアットの屋上テストコースを走るという体験は、PGRCだからこそ実現した、唯一無二の魅力と言えるだろう。

今後もさらなるアップデートやDLCのリリースが期待されるPGRC。その独特の世界観と高い操作性で、レースゲームファンのみならず、幅広い層のプレイヤーを魅了し続けることは間違いない。

出典: The Drive