米国の住宅市場で、日本企業による買収が相次いでいる。今春のわずか5週間の間に、米国の住宅建設会社4社が日本企業に買収された。そのうち1社は株式公開企業のTri Pointe Homesで、住友林業による45億ドルの買収が発表された。その他にも、大和ハウス工業が運営するスタンレー・マーティン・ホームズによるUnited Homes Groupの買収、飯田グループホールディングス傘下のHajime Constructionによるユタ州のWright Homesの株式取得、大和ハウス工業が過半数を保有するTrumark Homesによるシアトル近郊のJK Monarchの買収が行われた。

これらの買収が完了すれば、日本企業が米国シングルファミリーハウス市場で占めるシェアは5.5%を超えるとResiClubは試算している。この動きは一時的なものではなく、過去10年にわたって続いてきたものだ。不動産分析会社Zondaのデータによると、2015年には日本企業が運営する米国の住宅建設会社の市場シェアはわずか0.2%だったが、2025年には4.7%にまで拡大している。

なぜ日本企業は米国住宅市場に注力するのか

その背景には、日本と米国の人口動態の違いがある。日本は少子高齢化が進み、国内の住宅需要が長期的に低迷する一方で、米国は人口増加と世帯形成が続いている。特に、サンベルト地域を中心とした米国南部・西部では、大手住宅建設会社の多くが事業を展開しており、日本企業にとって魅力的な市場となっている。

また、米国の住宅建設業界は、上位数社の大手企業を除けば依然として分散化が進んでいる。そのため、資金力のあるグローバル企業にとって、地域密着型の住宅建設会社を買収し、ブランドや経営陣を維持しながら事業を拡大する機会が多く存在する。

住友林業積水ハウスは、現地の経営陣を重視しつつ、グローバルな資本とノウハウを提供することで、米国市場での事業展開を進めている。さらに、日本企業は長期的な低金利政策により、海外企業の買収に有利な資金調達環境にあることも、この動きを後押ししている。

日本企業の米国市場参入が業界に与える影響

Zondaのチーフエコノミスト、Ali Wolf氏は次のように指摘する。

「日本の住宅建設企業は、国内の人口動態の課題と海外の機会を踏まえ、米国住宅市場に対して長期的な視点で取り組んでいる。彼らの存在感の拡大は、米国の住宅需要に対する強い信頼の表れであり、世界銀行の予測でも25年以上にわたる国内人口成長が見込まれている。日本企業は単に資金を提供するだけでなく、規模の拡大、効率化、建設手法の革新を通じて、業界全体の構造変化をもたらす可能性がある」

今後、日本企業の米国住宅市場への参入はさらに加速するとみられ、業界の競争環境やサービスの質に変化をもたらすことが期待される。