米下院民主党議員で、連邦政府による商用スパイウェアの使用実態を調査してきたサマー・リー議員(ペンシルベニア州)は、トランプ政権がスパイウェア技術のさらなる活用に前向きであるとの懸念を背景に、商務省に対し議会への説明を求める書簡を送付した。
リー議員は13日、商務省に宛てた書簡で、米移民・関税執行局(ICE)が商用スパイウェア「グラファイト」の使用を認めたこと、および米企業がイスラエルのNSOグループの株式を過半数取得したことなど、最近の動向に関する説明を求めた。
NSOグループの買収と政権との関係
商務省は、ジョー・バイデン前大統領時代に、NSOグループを制裁対象に指定したが、これは政府高官、活動家、ジャーナリストへの盗聴などの不正使用の疑惑が広がっていたためだ。リー議員は書簡で「トランプ政権は商用スパイウェアを用いて携帯電話に侵入し、制裁対象のスパイウェア企業への米国投資を容認する姿勢を示している」と指摘した。
NSOグループの新しい執行委員長であるデイビッド・フリードマン氏は、トランプ前大統領のイスラエル大使であり、破産管財人でもあった。フリードマン氏は昨年11月に、同政権がNSOグループの技術を受け入れる可能性が高いと発言していた。
議員が求める情報開示
リー議員は、商務省に対し、NSOグループの買収や連邦捜査機関による同社のスパイウェア使用の可能性に関する情報開示を要請。また、商務省内部の検討状況、ホワイトハウスとのやり取り、フリードマン氏を含む外部関係者との協議内容についても説明を求めた。
リー議員は下院監視・政府改革委員会のメンバーであり、同委員会の連邦法執行小委員会で民主党トップを務めている。同議員は最近、ICEによるグラファイトの使用を確認する民主党議員団の書簡の起草者の一人でもあったが、政権側が十分な回答を示さなかったとして批判していた。
NSOグループの主張と今後の展望
リー議員は書簡で「NSOグループはトランプ政権を自社の利益にとって好意的な存在と捉え、米政府にとって国家安全保障を守る重要なツールであると売り込んでいる」と指摘。同社の法廷文書によれば、「米国の法執行機関や諜報機関がペガサスを使用することが合理的に予見可能だ」としている。
バイデン政権による制裁や、メタ社との訴訟で敗訴したことは、NSOグループの野心に打撃を与えた。しかし昨秋の米投資会社による株式取得は、イスラエルがハマスによる拉致・殺害被害者の追跡にペガサスを使用したとの報道を受け、同社にとって追い風となった。
NSOグループは、自社製品がテロリズムや犯罪と闘う法執行機関や諜報機関向けに設計されていると主張しているが、その主張に対する信頼性は揺らいでいる。