米スポーツ医学会(ACSM)は3月5日、筋力トレーニングに関する新しいガイドラインを発表した。その核心は「完璧なプログラムは必要ない。とにかく始めて、継続することが重要」というメッセージだ。

ACSMの新しい「Position Stand」は、2009年以来となる主要なアップデートであり、過去の研究137件を分析した包括的レビューに基づくものだ。対象となったのは3万人以上の成人参加者で、その多くはトレーニング初心者だった。

「やるか、やらないか」が最も重要

新ガイドラインの最大のポイントは、トレーニングの「質より量」だ。具体的には、以下の点が明らかにされた。

  • 自宅トレーニングや自重トレーニングでも効果あり:ジムのマシンや重量器具がなくても、自宅でのトレーニングや自重運動で十分な筋力向上が期待できる。
  • 頻度や種目、器具はそれほど重要ではない:トレーニングの頻度、選択する種目、使用する器具の種類よりも、継続的に取り組むことの方が効果に大きく影響する。
  • 「少しでもやる」が「何もしない」よりも優れる:完璧なプログラムを追求するよりも、まずは始めて、できる範囲で続けることが重要だ。

カナダ・マックマスター大学のStuart Phillips教授(運動学部門)は、「複雑なプログラムは必要ありません。とにかく始めて、継続することが大切です」とコメントしている。

「唯一の正解はありません。自宅トレーニング、自重トレーニング、レジスタンスバンドなど、さまざまな方法で効果が得られます。重要なのは、自分に合った方法を見つけて続けることです」

誰もが取り組みやすい内容に

今回のガイドラインは、これまでの「専門的な知識や設備が必要」というイメージを払拭する内容となっている。特に、以下の点でアクセシビリティが向上している。

  • 自宅でできるトレーニング:自重運動やレジスタンスバンドを使ったトレーニングが推奨されており、ジムに通う必要がない。
  • 初心者でも取り組みやすい:過去の研究データを基に、初心者や経験の浅い人でも効果が得られることが示されている。
  • 多様な方法を提案:従来の「ジムでのマシンを使ったトレーニング」だけでなく、多様な方法が紹介されている。

ネバダ大学ラスベガス校のDenice Ichinoe准教授(家庭医学部門)は、「このガイドラインは、より多くの人にとって取り組みやすい内容になっています。誰もが簡単に始められるようになったことが大きなメリットです」と語っている。

長期的な健康維持に貢献

筋力トレーニングは、年齢を問わず健康維持に役立つ。具体的なメリットとしては、以下が挙げられる。

  • 筋力と体力の向上
  • 代謝機能の改善
  • 高齢者の転倒リスク低減
  • 日常生活動作の向上

ACSMは、これらのメリットを享受するためにも、まずは「始めること」と「続けること」を強調している。

出典: Healthline