米国の消費者物価が4月に急上昇し、インフレ率が前年比3.8%に達した。これは3年ぶりの高水準で、3月の3.3%から加速した。米労働省が発表した4月の消費者物価指数(CPI)によると、物価は前月比0.6%上昇し、特にガソリン価格は5.4%の急騰を記録した。
前年同月比で見ると、ガソリン価格は28%以上高騰しており、AAAの調査では平均ガソリン価格が1ガロン4.50ドルを超え、昨年同時期より44%上昇している。一方、食料品とエネルギーを除いたコアCPIは前月比0.4%、前年比2.8%上昇と比較的落ち着いた動きを見せた。
食料品価格は3月から0.7%上昇し、特に肉類の価格が反発した。しかし、エネルギー価格の高騰が他の商品への波及は限定的で、インフレ圧力は主にエネルギーに集中している。
家計への影響と経済見通し
インフレ率の上昇は、すでに高い生活費に悩む米国民にさらなる負担を強いている。米国の有権者は11月3日の中間選挙で、議会の議席配分を左右する投票を行うが、インフレは選挙の重要な争点となる見通しだ。
「インフレは現在、米国経済の最大の足かせとなっている。実質賃金がインフレに追いつかず、中低所得世帯の家計を圧迫している。消費者は支出を抑制し、1ドルを大切に使わざるを得なくなっている」
ヘザー・ロング(米海軍信用組合チーフエコノミスト)
4月には、実質ベースの平均時給が前年比0.3%下落し、3年ぶりにマイナスを記録した。これは、インフレが賃金上昇を上回る状況を示している。
インフレの背景と今後の展望
米国のインフレ率は、2022年6月に9.1%のピークを記録した後、徐々に低下していた。しかし、コロナ禍後のサプライチェーン混乱やウクライナ侵攻によるエネルギー価格の高騰が要因だった。現在は、イランとの戦争が新たなインフレ圧力となっている。
2月28日に米国とイスラエルがイランを攻撃した後、イランはホルムズ海峡の通行を遮断。世界の原油・液化天然ガスの5分の1が通過するこのルートの封鎖により、エネルギー価格が急騰した。
FRBは2026年の利下げを見込んでいたが、紛争の長期化やエネルギー価格の波及効果を警戒し、慎重な姿勢に転じている。トランプ前大統領はFRBとパウエル議長を批判し、金融政策の転換を求めている。