インターネットは今や、買い物や銀行振込、オンライン会議など日常生活に不可欠な存在となっている。しかし、国際電気通信連合(ITU)の2023年11月発表によると、世界人口の約30%にあたる20億人以上が未だにインターネットに接続できない状態にある。
こうした状況を受け、IEEE Future Networksが推進する「Connecting the Unconnected(CTU)」プログラムが注目を集めている。同プログラムは、5G・6Gをはじめとする次世代通信技術の開発・標準化・普及を加速させ、デジタル格差の解消を目指す取り組みだ。2021年以降、革新的な技術やアプリケーションの開発者を支援し、インターネットアクセスの拡大を図っている。
CTUの主な活動と成果
CTUは毎年、世界規模のコンテストを開催し、インターネット接続の拡大に貢献する技術やビジネスモデルを募集している。また、専門家や地域リーダーが集まる年次サミットを開催し、デジタル包摂戦略について議論を重ねている。
2023年には、以下のような新たな取り組みを展開した。
- 地域サミットの開催:各地域の接続課題に焦点を当てたサミットを開催し、ローカルな解決策を模索。
- コミュニティイベントの実施:地域住民を対象とした啓発イベントやワークショップを開催。
- メンタリングプログラムの拡充:コンテスト受賞者や次世代の技術者を対象に、技術支援やネットワーク構築を強化。
- IEEE規格協会(IEEE SA)との連携:提出された革新的な技術のガイドライン策定を支援。
CTUの共同議長であり、Basic Internet Foundationの創設者でもあるSudhir Dixit(IEEEライフフェロー)氏は次のように述べている。
「IEEE Future Networksは、デジタル接続に取り組むさまざまなイニシアチブを一つのプラットフォームに集結させ、IEEEブランドを活用してその活動の可視性を高めるコミュニティを創り出しました」
2023年のコンテストと受賞プロジェクト
CTUのコンテストは2021年に始まり、毎年200~300件の応募がある。2023年は52カ国から245件の応募があり、アカデミア、非営利団体、スタートアップ、学生など多様な参加者が集まった。
応募は3つのカテゴリーと2つのトラックに分かれる。
- 技術応用(Technology Applications):新たな接続技術やブロードバンドアクセスの拡大につながるイノベーション。
- ビジネスモデル(Business Model):インターネットサービスのコスト削減や新たな料金体系の提案。
- コミュニティ活性化(Community Enablement):公共ブロードバンドの普及を促進する戦略や啓発活動。
さらに、プロジェクトの成熟度に応じて実証実験トラックと概念実証トラックの2つに分かれる。
- 実証実験トラック:既に機能している技術で、実用段階にあるもの。
- 概念実証トラック:理論段階にあり、まだ完全なテストが行われていないプロジェクト。
2023年の応募期間は3月から6月までで、審査は6月から11月にかけて行われた。12月には受賞者によるバーチャル Winners Summitが開催され、20件の受賞プロジェクトが発表された。このうち14件が賞金を獲得(500米ドル~2,500米ドル)し、6件が特別表彰を受けた。
受賞プロジェクトの事例
2023年の受賞プロジェクトには、以下のような革新的な取り組みが含まれる。
- タンザニアのソーラー発電型コミュニティブロードバンドネットワーク:再生可能エネルギーを活用した低コストのインターネット接続網を構築。
- 低コストの衛星通信システム:遠隔地でも安定したインターネット接続を提供する衛星技術の開発。
- 地域住民向けのデジタルリテラシー向上プログラム:インターネット利用のハードルを下げるための教育活動。
賞金額は毎年スポンサーの状況に応じて変動するが、受賞プロジェクトは技術支援やネットワーク構築の機会を得られるほか、IEEEのグローバルなプラットフォームを通じて活動の拡大が期待されている。