暗号資産業界を左右する「BRCA」とは

米国議会で審議中の暗号資産市場構造法案。安定通貨の利回り分配を巡り、銀行業界と暗号資産業界が激しく対立している。しかし、この議論の裏で、業界の存続を左右する重大な条項が存在する。それが「BRCA(ブロックチェーン規制確実性法)」だ。

第604条が業界の命運を握る

現在の上院法案には、第604条と呼ばれる重要な条項が含まれている。この条項は、非カストディアル型ソフトウェアの開発者が「マネー・トランスミッター(資金移動業者)」と見なされないことを明確化するものだ。具体的には、ユーザー資金を管理しないソフトウェア開発者やインフラ提供者が、連邦法上の資金移動業者に該当しないことを規定している。

この条項が削除されれば、暗号資産ウォレットや分散型アプリケーション(dApps)の開発者が、犯罪容疑に問われるリスクが高まる。実際に、2025年にはTornado CashやSamourai Walletの開発者が、他者による不正使用とは無関係に、単にコードを公開しただけで有罪判決を受けている。

なぜBRCAが必要なのか

BRCAは、議員のキュンシ・ルミス(共和党、ワイオミング州)とロン・ワイデン(民主党、オレゴン州)によって提案された超党派の法案だ。その目的は、非カストディアル型ソフトウェアの開発者を保護することにある。従来の銀行業界は、暗号資産業界が預金獲得競争に参入することを警戒しており、安定通貨の利回り分配に反対している。しかし、この議論の陰で見過ごされているのが、開発者保護の重要性だ。

規制の行き過ぎが招く「規制による起訴」

BRCAがなければ、非カストディアル型ソフトウェアの開発者は、連邦刑法第1960条に基づき、犯罪容疑に問われる可能性がある。これは単にソフトウェアを公開しただけで、刑事責任を追及されるという「規制による起訴(regulation by prosecution)」のリスクを高める。

「BRCAがなければ、暗号資産業界の未来は暗い。開発者が自由にイノベーションを追求できなくなるからだ」
— 暗号資産業界関係者

銀行業界との攻防を超えた本質的な課題

安定通貨の利回り分配を巡る議論は確かに重要だが、それよりもはるかに重大な問題が存在する。第604条の存続が、暗号資産業界の未来を左右するのだ。現在の法案が改悪され、BRCAが骨抜きにされれば、業界全体が大きな打撃を受けることになる。

業界関係者の懸念

  • 非カストディアル型ソフトウェアの開発者が犯罪容疑に問われるリスクの増大
  • イノベーションの阻害と人材流出の加速
  • 米国の暗号資産産業の国際競争力の低下

今後の展望

上院での交渉が進む中、第604条の存続が最大の焦点となっている。業界団体や議員らは、BRCAの重要性を訴え続けている。しかし、銀行業界の強力なロビー活動により、法案が骨抜きにされる可能性も否定できない。

暗号資産業界の未来を左右するこの法案の行方に、引き続き注目が集まる。