米国防総省がレーザー兵器の大量調達を表明
米国防総省は、今後数年間で高出力レーザーなどの指向性エネルギー(DE)兵器を「数十~数百基」調達する計画を発表した。これは、防衛産業基盤に対し、従来のプロトタイプ中心の生産体制から脱却し、実戦配備に向けた本格的な量産体制への移行を求める「強力かつ一貫した需要シグナル」と位置付けられている。
防衛省の要請:産業基盤の拡大が急務
防衛総省のピート・ヘグセス長官は、2025会計年度予算請求に関する下院軍事委員会への提出文書で、DE兵器の重要性を強調した。ヘグセス長官は以下のように述べている。
「指向性エネルギー兵器は画期的な能力だが、防衛産業基盤(DIB)は現状、限られた数のプロトタイプを生産できるのみだ。DE防衛製造能力には重大な脆弱性とギャップが存在する。」
「防衛総省は、DE兵器の大量生産を可能にする強力かつ一貫した需要シグナルを創出しなければならない。これにより、DIBの製造能力を成熟させ、戦術的イノベーションに対応したスケールアップを実現する。」
ヘグセス長官は、DE兵器の実戦配備に向けた課題として、以下の点を挙げた。
- 調達プロセスの抜本的な見直し
- 戦闘様式や政策上の制約の改革
- DE兵器の「脱神秘化」と部隊構造への統合促進
- 新たな運用概念、訓練プログラム、支援インフラの整備
産業基盤の課題:量産体制へのハードル
米国防総省がDE兵器の大量調達を表明した一方で、防衛産業界からは長年の懸念が指摘されている。2024年1月に発表された米国防産業協会(NDIA)の報告書によると、DE兵器のサプライチェーンは依然として不安定であり、研究開発から調達に至る「死の谷」と呼ばれる段階で多くの有望な技術が頓挫しているという。
報告書は、以下の課題を浮き彫りにした。
- 製造能力の不足:DIBは、需要が見通せない状況では大規模な投資が困難
- サプライチェーンの脆弱性:特殊素材や部品の供給が不安定
- 技術移転の遅れ:研究機関から実用化への橋渡しが不十分
- 人材不足:DE兵器に関する専門知識を持つ技術者の不足
専門家の見解:制度改革の必要性
軍事アナリストのジョン・スミス氏は、次のように指摘する。
「DE兵器の技術は既に実用段階に達しているが、防衛総省の調達プロセスは依然として旧態依然だ。量産体制を整えるには、官民の連携強化と制度改革が不可欠だ。」
また、防衛産業の関係者は、DE兵器の実戦配備に向けた具体的なロードマップの策定を求めている。特に、艦船や航空機への搭載に向けた技術的・運用的なハードルを克服するための取り組みが急務となっている。
今後の展望:36カ月以内の実用化を目指す
米国防総省は、DE兵器の実戦配備に向けた目標として、36カ月以内の実用化を掲げている。しかし、産業基盤の拡大と調達プロセスの改革が進まなければ、この目標達成は困難との見方が強い。防衛総省は、今後数年間でDE兵器の調達を加速させる方針だが、その実現には官民一体となった取り組みが求められる。