絶滅種ブルーバックの蘇生プロジェクト

南アフリカの平原で200年以上前に絶滅した小型の角が立派なアフリカ原産のレイヨウ、ブルーバック(学名:Hippotragus leucophaeus)が、2030年までに蘇生される見通しだ。米バイオテック企業コロッサル・バイオサイエンスが発表したこのプロジェクトは、同社にとって6番目の「再生(デ・エクスティンクション)」プロジェクトとなる。

コロッサル・バイオサイエンスの取り組み

コロッサル・バイオサイエンスは、2020年の設立以来、絶滅種の蘇生を目指す研究を進めてきた。同社はこれまでに、機能的なDNAを持つ「氷河期オオカミ」の蘇生に成功し、2028年までにマンモスの子供を誕生させる計画を発表している。この他にも、フクロオオカミ(タスマニアタイガー)、モア、ドードーの蘇生に向けた研究も進行中だ。

ブルーバックの蘇生は、これまでの「氷河期の巨大動物」に焦点を当てたプロジェクトとは異なる特徴を持つ。アフリカの生態系回復に貢献する可能性が期待されており、同社のCEOであるベン・ラム氏は「ブルーバックはアフリカの生態系にとって重要な存在だった」と述べている。

アフリカのレイヨウ類の危機的状況

国際自然保護連合(IUCN)によると、世界の90種のレイヨウ類のうち29種が絶滅の危機に瀕しており、62%の個体数が減少している。アフリカでは5種のレイヨウが「絶滅寸前」に分類されている。ラム氏は「多くの人がレイヨウをアフリカの象徴として認識しているが、実際には30%が絶滅の危機にある」と指摘する。

ブルーバック蘇生の意義

ブルーバックの蘇生は、アフリカの生態系回復に貢献するだけでなく、現代の環境圧力(気候変動、生息地の喪失、密猟など)に直面するレイヨウ類の保護にもつながる可能性がある。コロッサル・バイオサイエンスは、ドイツ・ポツダム大学のマイケル・ホフライター教授(進化適応ゲノミクス)の研究を基に、ブルーバックの蘇生に取り組んでいる。

「ブルーバックは、アフリカの生態系にとって非常に重要な存在でした。私たちは、このプロジェクトを通じて、アフリカの生物多様性の回復に貢献したいと考えています」
ベン・ラム CEO(コロッサル・バイオサイエンス)

技術的な課題と展望

コロッサル・バイオサイエンスは、これまでに体外受精(IVF)技術やiPS細胞の研究を進めてきた。ブルーバックの蘇生に向けては、ローンアンテロープのゲノムを基に、100以上の編集を加えたゲノムを作成する計画だ。同社は「ゲノム編集技術の進歩により、ブルーバックの蘇生は現実的な目標となった」としている。

同社は、ブルーバックの蘇生を皮切りに、アフリカの生態系回復に貢献するプロジェクトをさらに展開する意向だ。今後、同社の取り組みがアフリカの生物多様性保護に与える影響が注目される。