フロリダ州控訴裁判所は10月29日、離婚訴訟中の元夫の交際相手に対するストーキング防止命令の発令を却下する判決を下した。同判決は、法廷内の対立を法的手段で解決することはできないと改めて示したものだ。

事件の概要

当事者は2021年に別居し、2022年に離婚訴訟を開始した。交際相手は2019年から元夫と交際していた。原告(元妻)は2024年10月、交際相手に対しストーキング防止命令を申請。その根拠として、2023年8月から2024年10月にかけて4件の行為を挙げた。

  • 2023年8月のSNS投稿:交際相手が原告を「他人を操る」「子供をスパイに使う」などと非難し、脅迫的な表現を含む内容だったと主張。
  • 2024年2月のSNS投稿:再び原告を「ストーカー行為」と非難し、職場にタグ付けして他者に警告。原告はこれによって職場での面談を余儀なくされた。
  • 2024年10月16日のテキストメッセージ:交際相手が原告に対し、子供の養育費支払いに関するZelle経由の連絡で個人情報の提供を求め、原告は裁判所承認の通信アプリで確認した。
  • 2024年10月23日の一連のメッセージ:原告のいとこが関与したトラブルを受け、交際相手が原告を「卑劣な人間」と呼び、ストーカーと非難し、接触を控えるよう要求。原告が電話番号をブロックすると、数分以内にWhatsAppやメールで同じメッセージが送られ、職場への出没の可能性にも言及された。

一審裁判所はこれらの行為がストーキングに該当すると判断し、3年間の接触禁止命令を発令したが、控訴裁判所はこれを覆した。

法的判断のポイント

控訴裁判所は、ストーキング防止命令の要件を満たしていないと判断。具体的には以下の理由による。

  • 「繰り返し」の要件を満たしていない:2件以上の「ハラスメント」行為が必要だが、これらは「連続した行為の一環」と見なされ、別個の行為とは認められなかった。
  • 「相当な精神的苦痛」の要件を満たしていない:一般的な合理的基準で判断すると、これらの行為が精神的苦痛を与えるとは言えない。
  • 「正当な目的」があった:交際相手は養育費の支払いに関する正当な連絡をしていた。

裁判所の見解:「私的対立には法的救済はない」

「ストーキング防止命令は、当事者間の激しい対立を法的に解決するための手段ではない。裁判所はこれまでも同様の警告を発してきたが、改めて強調しておく。法は、違法な行為と単に不快・不快感を与える行為との間に明確な線引きをしている。」

同判決は、当事者間の私的な対立に対して法的手段を用いることの限界を示したものであり、ストーキング防止命令が単なる「不快な行為」に対する救済手段ではないことを改めて確認した。

出典: Reason