米国の研究チームが発表した新たな研究によると、閉経後の女性は心血管疾患のリスクが高いほど、股関節やその他の主要な骨折リスクも高まることが明らかになった。心臓と骨の健康が密接に関連している可能性が示唆されており、専門家は両者を同時にケアすることの重要性を強調している。
心血管リスクが骨折リスクに直結
研究は、米国心臓協会(AHA)が2024年に開発した心血管疾患10年リスク評価スコア「PREVENT」を用いて行われた。対象となった2万1,000人以上の閉経後女性を、低リスク、境界域リスク、中等度リスク、高リスクの4グループに分類。その結果、心血管リスクが高い女性ほど骨折リスクが顕著に上昇することが判明した。
- 高リスク群:股関節骨折リスクが低リスク群と比較して93%上昇
- 中等度リスク群:股関節骨折リスクが33%上昇
また、心血管リスクが高い女性は、股関節だけでなく、脊椎、前腕、肩などの主要部位における骨折リスクも増加していた。研究者らは、PREVENTスコアが骨密度検査や骨健康専門医への紹介に役立つ可能性があると指摘している。
心臓と骨の健康、双方のリスク管理が鍵
研究を主導したラフェカ・ホサイン氏(テュレーン大学医学部)は、「これまでにも心血管疾患と骨折リスクの関連性は指摘されてきたが、股関節骨折リスクとの関連性の大きさには驚かされた」とコメント。両疾患は高齢者にとって深刻な健康課題であり、経済的負担も大きいことから、双方のリスク低減が高齢者の生活の質向上につながると述べた。
研究は、米国の大規模女性健康調査「Women’s Health Initiative」のデータを基に実施された。これまでの研究でも、心臓と骨の健康が密接に関連していることが示唆されており、今回の発見はその証拠をさらに裏付けるものとなった。
関連性を引き起こす要因とは
研究チームは、心血管疾患と骨折リスクの関連性を説明する生物学的メカニズムとして、以下の要因を挙げている。
- 慢性炎症:心血管疾患と骨粗鬆症の双方に関与
- 酸化ストレス:細胞損傷を引き起こし、骨代謝を阻害
- カルシウム代謝の変化:骨の強度低下につながる
- 動脈硬化による骨への血流低下:骨の栄養不足を招く
- 閉経後のホルモン変化:特にエストロゲンの減少が心疾患と骨粗鬆症の双方のリスクを高める
予防策:心臓と骨の両方を守る生活習慣
ホサイン氏は、「心臓を守る習慣は骨を守る習慣でもある」と述べ、以下のような生活習慣を推奨している。
- 定期的な運動(特に荷重運動や筋力トレーニング)
- カルシウムとビタミンDを豊富に含むバランスの取れた食事
- 喫煙の回避
- 糖尿病や高血圧などの慢性疾患の管理
さらに、中等度以上の心血管リスクがある閉経後女性は、骨密度検査を受けることや骨健康の専門医に相談することが推奨される。研究結果は、The Lancet Regional Health – Americas 誌に掲載された。
「心臓と骨の健康は、切り離すことのできない関係にある。どちらか一方だけでなく、双方のリスク管理に取り組むことが、高齢者の健康寿命を延ばす鍵となる」
— ラフェカ・ホサイン氏(テュレーン大学医学部)