1966年式フォードT5は、ドイツ市場で「マスタング」の名称を使用できなかった珍しい歴史を持つクルマだ。表面上は通常のマスタングと変わらないが、その裏には商標権を巡る興味深いエピソードが隠されている。
ドイツ市場における「マスタング」の商標問題
フォードは1960年代後半、ドイツ市場へのマスタング投入を計画した。しかし、現地の重工業大手クルップ社が既に「マスタング」の商標を所有していた。クルップ社はフォードに対し、商標権を1万ドルで売却する提案を行ったが、フォードはこれを拒否。代わりに、マスタングを社内コードネーム「T5」として販売することを決定した。これにより、ドイツ市場では「フォードT5」として発売されたのだ。
1966年式T5の特徴と歴史
写真の1966年式T5は、米国のマスタングと機械的・外観的に同一のモデルだ。1981年に米国に輸入され、2007年に大規模なレストアが施された。総走行距離はわずか46,200キロで、直近でも整備が行われている。
外観と仕様
- 工場出荷時の塗装は「レイブンブラック」だったが、後に赤に変更された。レストア時にオリジナルカラーに戻された。
- 14インチのスチールホイールにBFGoodrich Silvertownタイヤを装着。
- K-Codeモデルで、スペシャル・ハンドリング・パッケージを搭載。強化スタビライザーバー、大型ショックアブソーバー、より硬いスプリングを採用。
内装の特徴
レストア時に内装も一新され、パーチメント・クリンケルビニールのシートにパロミノトリムを採用。ダッシュボードとメーター類はオリジナルのまま。木目リムの3本スポークステアリングホイールも装備されている。
「現代のマスタングも素晴らしいが、初代モデルのシンプルで時代を超越した内装には、特別な魅力がある」
オークション情報
この1966年式T5は、現在Bring a Trailerのオークションに出品中だ。希少な歴史を持つこのクルマに興味のある方は、早めの入札を検討されたい。
出典:
CarScoops