経験と実績が武器に、50歳以上の女性起業家が急増

米国で起業する女性が増加している。2023年の米国国勢調査によると、米国の企業の約40%が女性所有であり、その多くが50歳以上の起業家だ。実際、米国では女性が起業する割合が過去最高を記録し、新規開業者の約半数を占めるという調査結果もある。

メリル・ローゼンタール氏(62歳)もその一人だ。同氏は2005年に人材と職場変革のコンサルティング会社を共同設立。9年後の50歳で単独経営者となったが、当時、若いビジネスリーダーからは「HRの専門知識が不足している」や「テクノロジーに疎い」といった偏見を受けたという。しかしローゼンタール氏は、それらの偏見を跳ね返し、20年以上にわたり事業を成長させてきた。

「これまでの経験、仕事への取り組み、視点、適応力、そして自信が私の強みです。自分の判断を信じ、自分の強みに合わせて事業を再構築することで前に進むことができました」と語る。同氏は、起業家が成功する要因の一つに「過去の役職で培ったスキルを起業に活かすこと」を挙げ、特に50歳以上の女性にとってそれが顕著だと指摘する。

年齢と性別のダブルバイアスが資金調達を阻む

しかし、50歳以上の女性起業家は「ダブルバイアス」に直面している。性別に加え、年齢による偏見が資金調達や信頼獲得の場面で顕著に表れるのだ。

ジュリー・ウィング氏(65歳、航空ビジネスのシリアルアントレプレナー)は、60代で起業した経験からこう語る。「女性、特に50歳以上の女性は、男性よりもはるかに多くの実績を示さなければなりません。男性にはその必要がないのです」

このダブルバイアスは、経済的損失につながる可能性がある。MITの研究によれば、年齢を重ねた起業家の方が若い起業家よりも成功率が高いという。また、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)の調査では、女性が共同設立したスタートアップは、男性が設立したスタートアップよりも5年間で累積売上高が10%高く、資金1ドル当たりの売上高も女性起業家の方が78セントに対し、男性は31セントにとどまることが明らかになった。

データが示す「見過ごされた経済価値」

BCGの調査結果は、50歳以上の女性起業家がもたらす経済的価値の大きさを示している。資金効率が高いにもかかわらず、こうした起業家は資金調達の場面で不利な扱いを受けているのだ。これは、経済成長の機会を逃している可能性がある。

ローゼンタール氏は、こうした偏見を克服するためには「自分の経験を活かし、自信を持って事業を進めること」が重要だと強調する。また、投資家や支援機関が、年齢や性別にとらわれず、実績と可能性に基づいて評価する体制を整えることが求められている。

今後の展望と支援の必要性

50歳以上の女性起業家の増加は、社会全体の変化を反映している。しかし、依然として年齢と性別による偏見は根強い。今後、こうした起業家を支援するためには、以下の取り組みが重要だと専門家は指摘する。

  • 投資家の意識改革:年齢や性別にとらわれず、実績とビジョンに基づいて投資判断を行う。
  • ネットワーキングの強化:50歳以上の女性起業家同士の交流や情報共有の場を増やす。
  • 教育と啓発:起業家支援プログラムやセミナーを通じて、経験とスキルを活かした起業を促進する。
  • 政策支援:政府や自治体が、50歳以上の女性起業家向けの融資制度や税制優遇を拡充する。

「50歳以上の女性起業家は、これまでの経験を活かし、新たな挑戦を続けています。私たちが支援することで、さらなる経済成長と社会の変革が期待できるのです」とローゼンタール氏は述べている。

まとめ:偏見を乗り越え、経済成長の原動力に

50歳以上の女性起業家は、経験と実績に裏打ちされた強みを持ちながらも、年齢と性別に対する偏見に直面している。しかし、データが示すように、こうした起業家は経済的価値を生み出す可能性が高い。今後、社会全体でこうした偏見を克服し、支援体制を整えることが、経済成長と社会の発展につながるだろう。