AIによる業務代替、20%の労働者が実感

Epoch AIとIpsosによる共同調査の結果、米国のフルタイム労働者の20%が、AIによって自らの仕事の一部が代替されたと感じていることが明らかになった。この調査は2,000人の米国成人を対象に実施され、仕事やプライベートでAIを利用した経験がある人は全体の約半数に上った。

フルタイム労働者のうち、20%はAIが従来自分が担っていた業務を奪ったと回答。さらに15%は、AIによって新たな業務が発生し、負担が増加したと証言した。この結果から、AIが人間の仕事を奪う「代替効果」が、人間の生産性を高める「補助効果」を上回っている可能性が示唆される。

専門家が警鐘:労働市場の構造変化が進行中

「20%の労働者がAIによって業務が奪われたと感じている事実から、労働市場の再編がリアルタイムで進行中であることがわかる」と語るのは、Global Policy on Artificial IntelligenceのAI政策リーダー、Nichols Miailhe氏だ。同氏はさらに、「代替効果が補助効果を上回る現状は、各国政府がAIによる労働市場の変化に対応する政策を検討する時間的猶予が、想定よりも早く失われつつあることを示している」と指摘する。

経済学者も労働市場の大規模な変動を予測

この調査結果は、シカゴ連邦準備銀行と複数のトップ大学の研究者による大規模な経済調査とも一致する。同調査では、経済学者が労働市場の大幅な変動を考慮に入れてモデルを修正し始めていることが明らかになった。

AI活用の現実:生産性向上につながっていないケースも

一方で、AI活用が必ずしも生産性向上につながっていない実態も浮き彫りになった。例えば、Amazonでは人間の労働者をAIで代替する取り組みが進められたが、結果として全体の生産性が低下したという。

AI批判で知られるGary Marcus氏は、「AIによる失業の数学的根拠は成り立たない」と主張。Klarnaの事例を引き合いに出し、AI導入後に人間を再雇用せざるを得なかった同社の失敗例を紹介した。

AIの真の課題:人間と同等の生産性は達成できていない

専門家の間では、AIが職場で普及しているかどうかではなく、人間と同等の生産性を維持できるかどうかが重要な問いとなっている。多くのケースで、AIは人間と同等のパフォーマンスを達成できていないというのが共通認識だ。

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出典: Futurism