オランダ籍のクルーズ船「MV Hondius」でハントウイルスの集団感染が発生し、乗客3人が死亡、5人が感染の疑いがあることが明らかになった。このウイルスは、人間から人間へ感染する唯一のハントウイルス株「アンデス株」に属し、世界保健機関(WHO)が警戒を強めている。

感染拡大の背景には、米国疾病対策センター(CDC)が2024年に実施したクルーズ船衛生プログラム(Vessel Sanitation Program, VSP)の大規模な人員削減があった。当時、CDCは連邦予算削減の一環としてVSPの常勤職員全員を解雇。疫学者を含む専門家チームが事実上解体され、わずか12人の米国公衆衛生局士官と、研修中の1人の疫学者のみが残された。

CBSニュースの2025年4月の報道によれば、VSPの再建には6か月以上の研修が必要とされるが、同職への応募者は極めて少なく、過酷な出張スケジュールも敬遠されているという。CDCの関係者は「もともと人手不足だったプログラムが、さらに悪化した」と証言している。

CDCは「VSPは依然として十分な体制で運営されており、米国管轄下のクルーズ船に対するすべての活動を継続している」と主張したが、専門家らは「十分な体制」の定義が曖昧だと指摘。解雇された専門家の代替が困難な状況が続いている。

MV Hondiusは米国管轄外の船舶であるため、CDCの検査対象外だったが、専門家らは「同様の感染症が米国に上陸するリスクが高まっている」と警鐘を鳴らす。感染症対策の専門家は「今回の事態はCOVID-19のような大規模感染には発展しない」としつつも、再発防止に向けた体制強化の必要性を強調している。

出典: Futurism