米国のメディア界を代表する先駆者であり、CNNの創設者として知られるロバート・エドワード・ターナー3世(通称テッド・ターナー)氏が死去した。享年87歳。同氏は家族に見守られながら、2024年10月28日に死去したと、ターナー・エンタープライズが発表した。
多彩な業績とユニークなキャラクター
ターナー氏は、米西部の大規模土地を所有する実業家であり、セーリングのアメリカスカップ優勝者でもあった。また、アトランタを拠点とするプロスポーツチームのオーナーとしても活躍。1977年にはアメリカスカップで優勝し、その後は慈善活動にも注力した。3度の結婚歴があり、その中には女優のジェーン・フォンダとの結婚も含まれる。その豪放磊落な性格から「アウトレージュス・キャプテン」や「サウスの口」といったニックネームで呼ばれた。かつて「少し謙虚さがあれば完璧なのに」と語ったこともある。
晩年はレビー小体型認知症を患い、テレビ事業からは引退していたが、慈善活動に注力していた。その一方で、口の達者な性格がビジネスの才覚を覆い隠すこともあった。1996年にターナー・ブロードキャスティング・システムをタイム・ワーナー(現ワーナー・ブラザース・ディスカバリー)に売却した際には、父親の看板会社を世界的なメディアコングロマリットに育て上げていた。売却時点で同社は7つの主要ケーブルネットワーク、3つのプロスポーツチーム、2つの映画スタジオを傘下に収めていた。
ターナー氏の死去に際し、ドナルド・トランプ前米大統領は「史上最高の偉人たちの一人」と称賛した。
CNN創設とメディア革命
ターナー氏の最大の功績は、1980年に世界初の24時間ニュース専門チャンネル「CNN(ケーブル・ニュース・ネットワーク)」を設立したことだ。当時、ABC、CBS、NBCの夜間ニュースが終了した後も仕事をしていたターナー氏は、テレビニュースに対する自身の不満からこの構想を実現した。
ケーブルテレビ黎明期のリスクを背負い、アトランタのオフィス上階のアパートでCNNの運営を開始。同社の転機となったのは1991年の湾岸戦争だった。多くのテレビ局がバグダッドから撤退する中、CNNは現地に残り、戦争勃発の衝撃的な映像を世界に伝えた。
ターナー氏はターナー・ブロードキャスティング・システムのタイム・ワーナーへの売却後もCNNに関与することを約束されていたが、徐々に経営から退くこととなり、後に「最大の失敗は会社の支配権を失ったこと」と語った。
ターナー家の起業家精神
ロバート・エドワード・ターナー3世は1938年11月19日、オハイオ州シンシナティで生まれた。9歳の時にジョージア州サバンナに移住し、そこで育った。ブラウン大学を退学後、アトランタに戻り、父親が経営する看板会社「ターナー・アドバタイジング」で働き始めた。父親が1963年に自殺した後、同社を引き継いだ。
1970年、ターナー氏はアトランタ周辺でも視聴が困難だったUHF独立局を買収。1976年12月17日には、同局を衛星を通じて全米のケーブルテレビ局に配信する「TBSスーパー・ステーション」を開始した。当初は古い映画やシットコムの再放送が中心だったが、その後アトランタ・ブレーブス(メジャーリーグベースボール)を買収。弱小チームだったブレーブスは、TBSの全国放送により徐々に人気を博した。
1980年代にはMGMの買収に巨額の負債を抱えるという、当時は懐疑的な見方をされた決断も行った。しかし、この買収によりターナー・ブロードキャスティングは貴重な映画ライブラリーを獲得し、メディア帝国の基盤を強化した。
「失敗から学ぶことが多い。最大の教訓は、会社を手放したことだ」
テッド・ターナー