米国の食料支援プログラム「SNAP(Supplemental Nutrition Assistance Program、通称フードスタンプ)」では、これまで店頭で販売されている温かい調理済み食品の購入が原則として認められていなかった。パン、ステーキ、魚、バナナなどの生鮮食品は購入できる一方、レジ近くの温め台に並ぶロティサリーチキンやマカロニ&チーズ、ポテトマッシュは対象外だった。

米農務省によると、SNAP受給世帯の約80%には子供、高齢者、障害者が含まれており、こうした世帯にとって温かい食事の選択肢が限られていたのが実情だ。しかし、10月19日に米下院で行われた農業関連法案(ファームビル)の採決で、ロティサリーチキンの購入が解禁されることになった。他の温かい惣菜は対象外のままだが、この動きは注目を集めている。

ロティサリーチキンの解禁は、超党派の議員団が提案していた「Hot Rotisserie Chicken Act(温かいロティサリーチキン法)」がファームビルに盛り込まれた形だ。下院は法案を224対220の僅差で可決したが、賛成票の大半は共和党議員で、民主党議員からは14人しか支持を得られなかった。

しかし、この法案には裏の側面もある。ファームビルにはSNAPプログラムの5年間で1870億ドルの削減が含まれており、これが民主党議員の反対を招いた主因だ。SNAP受給世帯の75%は貧困線以下で生活しており、利便性向上と同時に大幅な予算削減が議論を呼んでいる。

今後、法案は上院での審議を経る必要があり、ロティサリーチキンの解禁が実現するかどうかは不透明だ。一方で、SNAP受給者の生活利便性向上と財政健全化のバランスが今後の焦点となりそうだ。