イラクの石油産業は、イランが支援する武装勢力による攻撃の標的となっており、同国の経済基盤が揺らいでいる。イランは、イラク国内で「イラクの安全保障機関」を装いながら、実質的に最高指導者に忠誠を誓う6つのテロ組織を傘下に置き、米国やイスラエルとの対立を背景に攻撃を展開している。

これらの勢力は、米国の制裁対象となっているテロ組織であり、米国や西側諸国の影響力排除を目指す一方で、イラクのエネルギー部門を標的にしている。イラクの連邦予算の90%を石油収入が占める中、攻撃による被害は甚大で、回復には数年を要するとみられる。さらに、投資家の信頼回復も困難な状況だ。

主要な攻撃事例

今年3月と4月には、イラク北部のクルディスタン地域にある主要油田「サルサング」がドローン攻撃を受けた。同油田は米国のHKNエナジー社が運営しており、安全確保のため3月2日から生産を停止した。また、クルディスタン地域の政治エリートが所有するラナズ精製所も攻撃対象となった。

イランの代理勢力は、連邦政府支配地域でも攻撃を繰り返している。4月4日には、複数の油田施設がドローン攻撃を受け、外国企業の事務所やインフラが標的となった。さらに、中国の国有石油大手ペトロチャイナが運営する施設も攻撃を受け、3月には同社の施設近くにドローンが墜落した。また、ブズルガン油田の貯蔵施設も攻撃され、同油田は中国国有企業が技術サービス契約の下で開発を主導している。

経済的影響と今後の展望

イラクの首相を務めるムハンマド・シア・スダニ氏は、米国をはじめとする西側諸国からの投資拡大を模索しているが、攻撃の継続は外国企業の撤退リスクを高める。エネルギー産業の近代化と発展には、米国や西側諸国の支援が不可欠だが、現状ではその実現が危ぶまれている。

専門家は、イラクのエネルギー部門がイランへの依存を強める可能性を指摘しており、これは地域のエネルギー安全保障にとっても深刻な懸念材料となっている。

「イラクの石油産業が回復するには数年を要する。その間、投資家の信頼を取り戻すことが最優先課題だ。米国や西側諸国の支援がなければ、状況はさらに悪化するだろう。」
— 中東エネルギー専門家