米国の暗号資産(仮想通貨)業界にとって、中国出身の実業家ジャスティン・サンは、かつてドナルド・トランプのような存在だった。しかし、その「ブロックチェーン・キャメロット」は崩壊し、双方が法廷で争う事態に発展している。
サンは、2024年の米大統領選挙後にトランプ一族が立ち上げた暗号資産企業「ワールド・リバティ・ファイナンシャル(WLF)」に巨額投資を行い、同社の顧問を務めるなど密接な関係を築いた。選挙後、トランプ政権の誕生で規制当局の圧力が緩和され、米証券取引委員会(SEC)との和解に至ったサンは、WLFとの関係を象徴する存在となった。
しかし、その関係は長くは続かなかった。2026年5月4日、WLFはサンに対し名誉毀損で提訴した。WLFは声明で「サンが同社に対する虚偽の主張を繰り返し、悪意のあるメディアキャンペーンを展開している」と非難した。これに対しサンは直ちに反論し、X(旧Twitter)上で「全く根拠のないPR作戦に過ぎない」と主張した。
双方の主張の核心
両社の主張は、暗号資産業界特有の複雑さと曖昧さに満ちている。しかし、その骨子は以下の通りだ。
- サンの主張:WLFはサンが保有する40億ドル相当のトークン(うち10億ドルは顧問報酬として付与)の売却を不当に阻止した。特に、昨年9月に売却が可能になるはずだったが、WLFが突然口座を凍結し、売却を拒否。さらに、トークン保有者に対する経営参加の機会を与えず、透明性に欠ける運営を行っていると非難。
- WLFの主張:サンが同社の評判を傷つける虚偽情報を拡散し、悪意のあるキャンペーンを展開。これにより、同社の信頼性と事業継続に重大な支障をきたしていると指摘。
サンは、WLFの経営陣がトークン保有者に対する投票権を事実上無視し、独自の利益を優先していると主張。一方でWLF側は、サンが同社の成長を妨害するために虚偽の主張を繰り返していると反論している。
今後、両者の法廷闘争は暗号資産業界全体の規制や信頼性にも影響を与える可能性があり、注目を集めそうだ。
出典:
Mother Jones