米連邦準備制度理事会(FRB)議長候補に指名されたケビン・ウォーシュ氏は16日、上院の承認聴聞会で、新たなインフレ対策の枠組みとFRBの体制刷新を公約しながらも、トランプ大統領の経済政策を「非常に良好」と評価した。しかし、民主党のラファエル・ワーノック上院議員(ジョージア州)から「平均的な労働者世帯にとって米経済をどの評価にするか」と尋ねられた際、ウォーシュ氏は皮肉を交えた返答で事実上の回避を図った。
ワーノック議員:「ウォーシュ教授が現在の米経済を平均的な労働者世帯にとって評価するとしたら、どの成績をつけますか?」
ウォーシュ氏:「現代の大学では全員にAをつけるのが一般的です。A以外をつけたら、学部長室に呼ばれてしまいますからね」(会場に笑い声)
2011年にFRB理事を辞任後、スタンフォード大学で講師を務めるウォーシュ氏は、経済改善策を巡る意見の相違で辞任に追い込まれた経歴を持つ。しかし、聴聞会では具体的な評価を避け、トランプ大統領の不興を買わないよう配慮したとみられる。
「消費者信頼感は過去最低水準です。それが米国民の経済に対する評価です」
— アーロン・ルパー(@atrupar.com)
同様のやり取りは、民主党のティナ・スミス上院議員(ミネソタ州)からも指摘された。スミス議員が2月の一般教書演説でトランプ大統領が「経済はかつてないほど好調」と発言したことに触れると、ウォーシュ氏は「経済の大まかな動向は改善しており、今後さらに強化される可能性がある」と回答した。
ウォーシュ氏の発言は、米国とイスラエルのイランとの戦争激化やトランプ大統領の関税政策にもかかわらず物価が高止まりする「生活費危機」の最中に行われた。さらに、ウォーシュ氏の政治的独立性にも疑問が投げかけられた。民主党議員だけでなく、共和党のジョン・ケネディ上院議員(ルイジアナ州)も、ウォーシュ氏の政治的圧力からの独立性について疑問を呈した。
特に注目を集めたのは、民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員(マサチューセッツ州)による批判だ。ウォーレン議員は、ウォーシュ氏が2008年の金融危機時にFRB理事として金利引き下げに反対し、銀行救済策を優先した経緯を指摘。2024年の大統領選挙で勝利したトランプ氏がFRB議長にウォーシュ氏を指名しなかった理由として、金利政策に関する立場の一致を挙げた上で、トランプ氏が再選された直後にウォーシュ氏が「FRBは金利を引き下げるべきだ」と主張し始めた経緯を批判した。
聴聞会の数時間前、トランプ大統領はCNBCの番組「スクォークボックス」に出演し、ウォーシュ氏がFRB議長に就任すれば即座に金利引き下げを行うことを期待していると発言。さらに先週、FOXビジネスのインタビューで「今年は金利が引き下げられるか」との問いに対し、トランプ大統領は「ウォーシュが就任すれば、引き下げられる」と回答していた。昨年12月には「私に反対する者は誰であれ、ウォーシュがFRB議長に就任すれば金利は引き下げられる」と明言していた。