米国の反極右団体「南部貧困法律センター」(SPLC)に対する詐欺容疑の訴訟を受け、トランプ前大統領は12日、自身のソーシャルメディア「Truth Social」で「SPLCは米国史上最大の政治的詐欺の一つであり、詐欺で訴えられた」と主張した。
さらに「これは民主党のでっち上げであり、ActBlue(民主党系資金調達プラットフォーム)などと同様の策略だ」と述べ、「もし事実であれば、2020年の大統領選は完全に無効化されるべきだ」と強調した。
しかし、トランプ氏が2020年選挙で敗北した事実に変更をもたらす法的根拠は一切存在しない。専門家らは、SPLCへの訴訟が選挙結果に影響を与える可能性は極めて低いと指摘している。
SPLCへの訴訟内容と背景
米司法省は10日、SPLCに対して11件の容疑( wire fraud 6件、資金洗浄隠蔽の共謀、虚偽の銀行明細書提出など)で起訴したと発表した。しかし、これらの容疑は法廷で立証が困難との見方が強い。
SPLCは1971年に設立された非営利団体で、白人至上主義団体の監視や人種差別撲滅を目的に活動してきた。設立当初は政府と協力し、差別団体の摘発に貢献していたが、近年では保守層から「左翼的偏向」や「過激な活動」との批判を受けてきた。
SPLC側の反論と歴史的意義
SPLCのCEOブライアン・フェア氏は声明で「我々は極右組織内の暴力の脅威を監視するために情報提供者を活用してきたが、その結果得られた情報は多くの命を救ってきた」と主張。
「公民権運動の最盛期には教会爆破やデモ隊への国家暴力、活動家の殺害が横行し、司法は沈黙を守った。情報提供者から得た知見がなければ、多くの命が失われていた」
フェア氏はさらに「SPLCの活動は党派的ではなく、米国の民主主義を脅かす極右の実態を暴くためのものだ」と強調した。
専門家ら「選挙結果への影響はゼロ」
選挙法の専門家らは、SPLCへの訴訟が選挙結果に影響を与える可能性はないと一蹴。「選挙結果を覆すための法的根拠として機能しない」と指摘している。
一方で、トランプ氏の主張は自身の選挙敗北を認めない姿勢を改めて示すもので、支持者の間で選挙陰謀論の拡散につながる可能性が懸念される。