先週金曜日の朝、米メディア「Axios」が、トランプ政権によるイランとの極秘交渉に関するスクープ記事を公開した。同記事によると、米国はイランに対し、地下施設に保管されている約2.2トンの濃縮ウランを放棄するよう求めているという。その見返りとして、米国はイランの凍結資産200億ドルの解除を提案していたとされる。

この金額は桁外れに大きく、しかも交渉の初期提案額はわずか60億ドルだったと報じられている。イラン側が要求していた270億ドルに対し、最終的に200億ドルで合意に至る可能性があったという。これはまさに「取引の技術」と呼べる展開だが、この提案が事実であれば、トランプ氏がかつて「裏切り」と非難したオバマ前大統領の政策との矛盾が浮き彫りになる。

オバマ政権の17億ドル支払いとの比較

2015年に成立したイラン核合意(JCPOA)の一環として、オバマ政権はイランの凍結資産17億ドルの解除を実施した。この資金は、1979年のイラン革命以降に国際銀行で凍結されたイランの資産の一部であり、そのうち13億ドルは利息分だった。当時、米国はこの支払いを「身代金」や「テロ支援資金」と批判し、オバマ大統領を「裏切り者」と呼ぶ声が右派から相次いだ。

例えば、保守系メディア「FrontPage Magazine」のデイビッド・ホロウィッツは、「健全な政治環境であれば、バラク・オバマは反逆罪で裁かれるべきだ」と主張した。トランプ氏自身もかつて、オバマ政権がイランに1500億ドル相当の資産を支払ったと繰り返し主張していたが、これは事実に反する虚偽の発言だった。実際には、1500億ドルはイランが世界中で凍結されている資産の推定額(それも最も高い見積もり)に過ぎなかった。

「裏切り」の基準は一貫せず

オバマ政権の17億ドル支払いに対する批判は、資金が現金で支払われたことや、テロ組織への流用リスクが指摘された。しかし、当時の米国当局は、現金支払いが関係銀行の要望によるものであり、イラン側に厳しい使用制限が課されていたと説明していた。それでも、保守派はオバマ政権を「テロ支援国への資金提供」と非難したのだ。

これに対し、トランプ政権が提案した200億ドルという金額は、オバマ政権の17億ドルの実に12倍に相当する。当時「裏切り」と糾弾された行為と比較すれば、200億ドルの提案はどのように位置付けられるのか。その矛盾が、今改めて議論を呼んでいる。

専門家の見解:ロバート・マリー氏の指摘

「この交渉が事実であれば、米国の交渉力はかつてないほど強力だったと言える。しかし、その一方で、かつての批判との整合性が問われることになる。一貫性のない政策は、米国の信頼性を損なう可能性がある」
——ロバート・マリー氏(元米国務省イラン担当特使)

現在のところ、トランプ氏はAxiosの報道を否定している。しかし、もしこの交渉が事実であれば、米国の対イラン政策における一貫性のなさが改めて浮き彫りになるだろう。