「86」は「殺せ」の意味?トランプ氏の主張に矛盾

トランプ前大統領が政治的敵対者に対する訴追を次々と展開する中、自身の主張にすら疑問を呈する場面があった。CNNのカイトラン・コリンズ記者が4月29日に行ったインタビューで、トランプ氏はコミー元FBI長官のInstagram投稿を「命を脅かすもの」と主張したが、その根拠に自信を持てない様子を見せた。

コミー氏は昨年、海岸の貝殻で「86 47」と並べた写真を投稿。レストラン業界で「86」は「料理を提供しない」や「追い出す」を意味する用語だが、司法省はこれを「トランプ氏の命を脅かすメッセージ」と解釈し、新たな訴追に踏み切った。

トランプ氏「86はマフィア用語で殺害を意味する」

コリンズ記者が「コミー氏の投稿は命を脅かすものだったと本当に思いますか?」と尋ねると、トランプ氏は次のように答えた。

「犯罪に詳しい人なら誰でも知っている。『86』はマフィア用語で『殺せ』を意味する。映画を見たことがあるだろう?私はそう考える。わからないけどね」

さらにトランプ氏はマフィアについての話に脱線したが、コリンズ記者が「本当に命の危険を感じましたか?」と重ねて尋ねると、トランプ氏はこう答えた。

「おそらくそうだ。わからない。コミーのような連中は政治家や他の人々にとって大きな危険を生み出していると思う。コミーは汚い警官だ。非常に汚い。選挙を不正操作した」

コミー氏側は「86」が単に「大統領を追い出したい」という意思表示に過ぎなかったと反論する見通しで、法廷での立証は困難との見方が強い。

共和党議員からも「行き過ぎた訴追」との声

この訴追に対し、一部の共和党議員からも懐疑的な声が上がっている。ノースカロライナ州のトム・ティリス上院議員(司法委員会メンバー)は、ワシントン・ポスト紙に対し次のように語った。

「私もこれまで何度も『86』という言葉を使ったが、誰かを殺す意図で使ったことはない」

テキサス州のトロイ・ネールス下院議員も同様に「これは行き過ぎた訴追だ」と述べ、「誰でも何でも訴追できる」と批判した。

一般市民の間でも、トランプ氏の「報復の旅」に対する関心は低く、司法省の訴追が政治的動機に基づくものではないかとの疑念が広がっている。