ワシントンD.C.のワシントン・ヒルトンホテルで4月26日、ホワイトハウス記者会主催の年次 dinner が開催されている最中に銃撃事件が発生した。犯人はセキュリティーチェックを突破し、複数の武器を所持していたとされ、シークレットサービス隊員によって制圧された。
トランプ前大統領は自身のソーシャルメディアにセキュリティーカメラの映像を投稿し、「犯人は複数の武器を携え、チェックポイントを突破した。勇敢なシークレットサービス隊員がこれを阻止した」と述べた。その後、当局により犯人の身元が明らかになり、コール・トーマス・アレン(31歳、カリフォルニア州在住)と特定された。
アレンはショットガン、拳銃、ナイフを所持しており、シークレットサービス隊員との間で銃撃戦が行われた。このうち1人の隊員が負傷したが、詳細は明らかになっていない。アレンは捜査当局に対し、自身の標的は「トランプ政権関係者」であり、トランプ本人ではないと供述した。
その一方で、ニューヨーク・ポストが公開したアレンの家族宛ての「マニフェスト」によると、アレンはトランプを「児童虐待者、レイプ犯、反逆者」と非難していたという。この事件を受け、左派・右派双方から「警備の甘さを指摘する声」が上がっているが、専門家らは「過剰な警備強化は逆効果になり得る」と警鐘を鳴らす。
ホワイトハウスの大広間建設論争との関連性
トランプ氏は事件後、ホワイトハウスの東棟を解体した跡地に「巨大な大広間」を建設し、今後同様のイベントを安全に開催すべきだと主張した。同夜の演説で「我々は大広間が必要だ。今日の事件を踏まえ、かつてないレベルの警備が求められる」と述べた。しかし、この発言は議論を呼んでいる。
今月、大広間の建設を巡り、連邦裁判所が建設中止の仮処分を下していた。これを受け、代行司法長官のトッド・ブランシェ氏はX(旧Twitter)上で、原告に対し「本日の暗殺未遂事件を踏まえ、訴訟を自主的に取り下げるよう求める」との書簡を公開した。
しかし、リバタリアン系メディア「リーズン」のエリック・ベーム記者は「ホワイトハウス記者会は民間団体であり、大統領はゲストとして招待されている。仮にホワイトハウスに大広間があったとしても、dinner が開催される保証はない」と指摘する。
ワシントン・ヒルトンのセキュリティー上の課題
ワシントン・ヒルトンホテルは1999年にも「当時の大統領暗殺未遂事件の舞台」となった経緯があり、大規模イベントの会場として選ばれた背景には「2,700人を収容できる大広間を有する唯一のホテル」という理由があった。しかし、同ホテルは「大規模な宴会場を持つ一方で、一般のホテルとして機能しており、警備が困難」との指摘もある。
ウォールストリート・ジャーナル紙によると、今回の事件では「単純なセキュリティー上の不備」が露呈した。トランプ氏は2022年の選挙集会(ペンシルベニア州バトラー)で狙撃されており、今回の事件は「再び命の危険にさらされた」ことを示すものとなった。アレンはマニフェストの追記で「一体、シークレットサービスは何をしているのか?複数の武器を持って侵入しても、誰も警戒しないのか?」と疑問を呈していた。