レッドスクエアのパレードが「象徴的」に縮小
ロシアの最大の国家的行事である勝利の日(5月9日)を目前に控え、モスクワ・レッドスクエアで行われる軍事パレードが大幅に規模を縮小することが発表された。これまでロシアの軍事力を象徴してきた戦車や重機の展示は中止され、徒歩行進のみの「象徴的な」行事となる見通しだ。
ロシア国防省は、ウクライナからのテロ攻撃の脅威を理由にこの決定を説明。実際に4月27日にはモスクワ上空にウクライナのドローンが侵入し、防空システムが稼働する事態が発生していた。これにより、ロシア当局は「勝利の日」のセキュリティリスクを極めて重視せざるを得なくなった。
プーチン大統領、トランプ前大統領に停戦を要請
4月27日、プーチン大統領はドナルド・トランプ前米大統領に電話をかけ、勝利の日の期間中の停戦を提案したとされる。ロシア側の外交顧問ユーリ・ウシャコフ氏は「プーチン大統領が停戦の意向を伝えた」と発言したが、トランプ氏は「自分から停戦を提案した」と主張。しかし、ロシアメディアはプーチン大統領が提案したと報じており、実質的にはウクライナへの圧力を米国に仰ぐ形となった。
ウクライナのゼレンスキー大統領が、「モスクワのレッドスクエアでプーチンがパレードに参加できるかどうかを決める」状況にまで追い込まれているとの指摘もある。
戦況悪化が浮き彫りに
ロシアのプロパガンダでは「ウクライナが敗北に追い込まれたため、テロ的なドローン攻撃に訴えている」と主張しているが、この主張は次第に説得力を失いつつある。西側諸国では、かつてウクライナに懐疑的だった論客までもが「ウクライナの奇跡」を称賛するようになり、ロシア国内でも戦争強硬派のブロガーたちが「行き詰まりの戦争」や「敗北」について言及し始めている。
4月の最新報告によると、ロシアは2023年半ば以降初めて奪取した領土より失った領土の方が多い状況に陥っている。軍事アナリストのブリン・タンネヒル氏は、今春の戦況が「戦略的バランスの微妙だが重大な変化」を示していると分析している。
ドローン攻撃の拡大とロシアの動揺
ウクライナのドローン攻撃は、従来の前線から600マイル以上離れたエカテリンブルク、チェリャビンスク、ペルミなどの都市にまで及んでおり、ロシア国民の不安を煽っている。ロシア国営メディアは「ウクライナの敗北が原因」と主張するが、国際社会や国内世論の反応は冷ややかだ。
「今や第5年目の戦争で、ゼレンスキー大統領がプーチンのレッドスクエアでのパレード参加を決める立場にある」
— エレナ・マラホフスカヤ(反体制系メディア「ホドルコフスキーLIVE」キャスター)
今後の展望:ロシアの威信が揺らぐ
勝利の日のパレードが「象徴的」な行事にとどまることは、ロシアの軍事的威信の低下を如実に示すものだ。戦況の悪化とウクライナの反撃の激化により、ロシア政府は国民に対する「勝利」の演出が困難になりつつある。今後、プーチン政権がどのような対応を取るのか、世界が注目している。