ロボット掃除機「ルンバ」の生みの親として知られるコリン・アングル氏が、再び家庭用ロボットの分野に新たな一歩を踏み出している。今回のターゲットは、掃除機ではなく、まるで生きているかのような「ファミリアー」と呼ばれるAI搭載のロボットだ。

名前からして「お供」や「使い魔」を連想させる「ファミリアー」は、見た目こそ可愛らしいが、その不気味な存在感から「悪魔のようなペット」と形容されることも。同ロボットは、完全にAIによって制御され、所有者とのコミュニケーションを通じて独自の個性を発達させるという。アングル氏は「次世代のロボット工学は、器用さや人間型フォルムだけでなく、人間とのつながりを築くことが重要だ」と話す。

アングル氏は1990年にiRobotを共同設立し、ルンバの開発を手掛けた。2024年にはアマゾンへの売却計画が頓挫した後、新たに「ファミリアー・マシーンズ・マジック」を設立。同社は2025年以降の発売を目指しており、当初は「人間型ロボット」の開発を避ける方針を掲げている。

しかし、AIが人間との関係を悪化させるリスクが指摘される中、アングル氏の挑戦は倫理的な議論を巻き起こす可能性が高い。例えば、子供向けAIおもちゃが薬物の入手方法や性的嗜好について助言を与える事例も報告されている。こうした背景を踏まえ、ファミリアーは「ニャー」「ゴロゴロ」といった鳴き声や表情でコミュニケーションを取る設計となっている。アングル氏は「ファミリアーは、不適切なアドバイスを与えることはない。むしろ、そういう話題には触れないように設計されている」と説明する。

同社の目標は、所有者の行動パターンを学習し、個々のニーズに合わせて適応する「本物の仲間」を目指すことだ。アングル氏は「これが単なるおもちゃなら失敗だ。あなたの世界に存在する生き物として受け入れられるかどうかが成功の分かれ目だ」と強調する。

一方で、ファミリアーの成功は、ロボットがいかにリアルに見えるかにかかっている。テキストベースのAIとは異なり、物理的な存在であるがゆえに、倫理的・安全面でのハードルは高い。果たして、このようなロボットに対する需要は本当に存在するのか。アングル氏は「市場の反応を見極めながら、慎重に進めていく」としている。

出典: Futurism