中国の動画配信大手
これを支えるのが、同社が発表したAI映像制作ツール「那豆Pro(ナードゥ・プロ)」だ。脚本作成からストーリーボード、動画生成まで、映像制作の全工程をカバーするオールインワンツールで、既に社内テストで映画制作に活用されている。さらに同社は、今夏にAI生成映画の劇場公開を目指しており、実験的な取り組みにとどまらない本格的な展開を目指す。
那覇Proのリリースと同時に、iQIYIはアプリの大幅刷新版も公開。同社は、先月サービス終了を発表したOpenAIの動画生成アプリ「Sora」の人気を追い風に、AI映像コンテンツの普及を加速させる構えだ。龔CEOは制作関係者に対し、「これは10年に一度のチャンス。波に乗らなければならない」と呼びかけた。
制作者への報酬増額とAI映画の大量公開
iQIYIは、那覇Proを活用した制作者に対し、広告収入や会員費の売り上げから20%の追加報酬を支払う方針も発表した。さらに、同社は今後16本のAI生成映画を順次公開する計画で、AIコンテンツの本格的な拡大に向けた布石を打っている。
ハリウッドや中国映画市場の動向との連動
iQIYIのAI戦略は、ハリウッドにおけるAI導入の是非を巡る議論が高まる中で発表された。グーグルの「Veo 3」やByteDanceの「Seedance 2.0」など、最新の動画生成モデルの登場により、業界のAI導入が加速。一方で、AI映像の経済的な実現可能性については依然として疑問視する声も多い。例えば、Soraはサービス終了前に1日あたり100万ドル以上の損失を出していたと報じられている。
また、中国の映画市場も低迷期にある。2025年の春節(旧正月)期間中の国内興行収入は前年比で約40%減少し、2018年以来の低水準となった。同期間の大ヒット作「哪吒2」の勢いを引き継げず、映画産業全体が厳しい状況にある中、iQIYIのAI戦略は業界再編の象徴的な動きとして注目を集めそうだ。
「これは10年に一度のチャンス。波に乗らなければならない」
— iQIYI CEO 龔宇氏