米国有権者の間で、人工知能(AI)による職の喪失への不安が高まっている。この動きに対し、労働者家族党(Working Families Party、WFP)は中間選挙に向けた政策パッケージを発表した。同党の提案は、20人以上の民主党議員・候補者から支持を集めている。

WFPの新たな政策「労働者保障(Working Families Guarantee)」は、AIの導入で職を失うリスクに対応するための「ユニオン雇用の確保」を軸としている。直近のクイニピアック大学世論調査によると、米国人の50%以上がAIが日常生活に悪影響を及ぼしていると感じており、70%がAIの普及により雇用機会が減少すると懸念している。

同党の提案は、1940年代の「民間雇用促進局(WPA)」に似た大規模雇用計画に近い。具体的には、グリーン・インフラや医療分野でのユニオン雇用を創出するとしているが、詳細な実施方法は明らかにされていない。コロラド州上院議員候補のジュリー・ゴンザレス氏は、「企業と無為無策な民主党は、利益追求のために職を海外に流出させ、賃金をカットし、労働組合を潰してきた」と批判する。

同政策は、低所得者向けの医療費・保育費の負担軽減も含まれており、財源は富裕層への増税で賄う計画だ。WFPの全国政治局長モーリス・ミッチェル氏は、「労働者保障は働く人々に当然の権利であり、我々はそれを手に入れるために動く」と述べた。

同政策を支持する議員には、ワシントン州のプラミラ・ジャヤパル下院議員やイリノイ州のデリア・ラミレス下院議員などが名を連ねる。ニューヨークのブラッド・ランダー候補、ケンタッキー州のチャールズ・ブッカー候補、メイン州のグラハム・プラットナー候補なども賛同を表明している。

民主党内のAI政策を巡る路線対立

WFPの提案は、民主党内におけるAI政策の将来を巡る路線対立の一環でもある。穏健派シンクタンク「サーチライト研究所」は、データセンターの建設規制に反対し、NVIDIA関連の支援者を抱えることで知られる。同様の立場を取る「サードウェイ」も、AI政策でWFPと対立する立場を示している。WFPは比較的小規模ながら影響力のある左派政党で、若年層を中心に支持を拡大。両党への不信感が強まる中、穏健派に対してより左派的な政策を求める動きをけん引している。

WFPの全国報道官ラビ・マンラ氏は「人々はリーダーシップを求めているが、サードウェイやサーチライト研究所のようなグループは、AI経済の成長を阻害する政策を主張している」とコメントした。