イタリアの政治思想家ニッコロ・マキャヴェリは、その著書「君主論」で、指導者は「愛されるよりも恐れられる方が安全」と説いた。しかし、同時に「憎まれることは避けなければならない」とも忠告している。この理論を忠実に実践しようとしたのがドナルド・トランプだが、国際舞台では見事に失敗し、世界はその代償を払っている。
トランプの権力戦略は、国内では確かに機能していた。支持者からは愛され、反対者からは激しく嫌われ、その存在自体が強い恐怖を与えてきた。共和党は「トランプ党」と化し、党の方針はトランプの気まぐれで変わる。党員たちは、1月6日の暴動を「平和的な抗議」と主張するなど、事実を否定することで地位を守ってきた。ジョージ・オーウェルの言葉を借りれば、「大統領はあなたに自分の目と耳の証拠を否定せよと命じた。それが彼の最も本質的な命令だった」のだ。
しかし、この戦略は海外では通用しない。民主主義国家のリーダーたちは、トランプを「笑い者」であり、虚栄心が強く、お世辞に弱く、操作しやすい「愚か者」と見なしている。2018年には、外交官たちがトランプをこっそり嘲笑していたという報告もある。世界各国の指導者は、トランプの取引型外交に対応するため、「指輪にキスする」や「トランプ管理術101」と呼ばれるパフォーマンス的な対応を取ってきた。
かつてはトランプを「使い勝手の良い愚か者」と見なしていたロシアでさえ、2026年の米中間選挙を控え、トランプの価値が低下していると認識し始めている。共和党が選挙で敗北すれば、トランプの影響力は大きく制限されるだろう。ハンガリーのようなかつてトランプを支持していた国でも、トランプとJD・バンスの選挙介入は失敗に終わった。
その一方で、カナダのマーク・カーニー首相は2025年の選挙で勝利を収め、トランプに反対する姿勢を鮮明にした。カナダ人の55%が米国を「国家安全保障上の最大の脅威」と見なしているにもかかわらず、米国の圧力に屈することなく、堂々と拒否する意思を示している。NATOも、トランプのリーダーシップに対する忍耐の限界に達しつつある。